暗黒時代からの脱却、チームの変革
2012年からは関西のクラブチーム「カクテル」に入団した。女子強豪チームの主力選手となり、皇后杯8連覇中、個人でMVPを4回受賞するなど活躍。2014年には日本代表入りを果たした。
しかし、当時の女子日本代表は、長い低迷期にあった。「国際大会で勝てない時代でした。だから『世界で勝つって何なんやろ? どうやったら勝てるんやろ?』と、勝ち方をほとんど知らない人たちが集まって、もう一度、チームを作り直すところから始めました」
「暗黒時代」からの脱却は、容易ではなかった。「自分がいくら点を取ったとしてもチームが勝てない。本当にすごい無力感を感じた時もありました」だが情熱は持ち続けた。
「バスケしたい、レベルの高いところでやりたい、もっと上手くなりたい」の一心だった。
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車いすバスケの未来を変える力
そんななか迎えたのが、パラリンピック初出場となった東京大会だ。「もっと上達したいと思ってたら日本代表の合宿に呼ばれて12名に入ったので。その時は、パラリンピックに出られるのも自国開催だったからだし、パラリンピックが特別な大会という意識はありませんでした」
結果は6位に終わった。
だが、女子決勝のオランダ対中国を観戦している時、心境に変化が訪れた。「決勝のこの舞台に立ちたい。バスケを始めてから、そういう気持ちになったのは初めてでした」コートサイドで白熱する試合を目の当たりにし、熱い思いがこみ上げてきた。
「東京パラリンピックでは、男子が銀メダルを獲ってブームにもなりましたし、自分たちが、他の国際大会ではなくパラリンピックでいい結果を残すことで、車いすバスケの未来を変えていく力があるなって。そして、その思いを次に残していけるんじゃないかと思いました」