Credit: pigmie – I DID NOT SIT For An Entire Week(youtube,2023)
「座りっぱなしの生活が健康に悪い」ことはすでに多くの研究で明らかになっています。
では逆に、立ちっぱなしで生活したら体にはどんな変化が起こるのでしょうか。
そんな好奇心に駆られて、海外YouTuberのpigmieさんが「1週間立ちっぱなし生活」に挑戦しました。
果たして、立ちっぱなしにはどんなメリットとデメリットがあったのでしょう?
目次
座りすぎは健康にとって害悪だらけ「1週間立ちっぱなし生活」の結果は?1日にどれくらいの運動量が必要?
座りすぎは健康にとって害悪だらけ
pigmieさんは今回のチャレンジについて、現代人の座りすぎ生活による健康への懸念が動機になったと話します。
彼は「長時間の座りっぱなしや運動不足は肥満や肥満に関する様々な疾患と関係があるにも関わらず、アメリカ人の多くは1日に平均9.5時間も座っている」と指摘します。
これまでの研究では、1日に6〜8時間以上座っていると心血管疾患や2型糖尿病を含め、様々な疾患の発症リスクが高まることが示されてきました。
他にも長時間の座りっぱなしは、背中や腰の痛み、首や肩のこり、脊椎の機能障害や関節変性など、慢性的な体の痛みを引き起こすことがあります。
座りすぎは健康にとって害悪だらけ / Credit: canva
座りっぱなしの弊害はそれだけに留まりません。
1日の座る時間が長くなると、頭が悪くなる可能性もあるのです。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は、運動が記憶力の維持に効果的であるという先行研究を受けて、その逆もまた真であるかどうかを調べました。
要するに「座りっぱなしの生活が記憶力を損なうのかどうか」ということです(PLOS ONE,2018)。
研究チームはMRI画像を使って、認知障害や精神疾患のない45〜75歳の健康な成人35名の脳を調べ、自己申告式の質問票により詳細な生活習慣を記録しました。
その結果、週に座っている時間が多かった被験者ほど、記憶力に関わる脳領域の容積が減っていることがわかったのです。
この他にも座りっぱなしの生活は、不安やうつ症状、ストレスレベルの増加など、メンタルヘルスにも悪影響を与えたり、心身の疾患の悪化から全体的な死亡リスクを高めるとされています。
明らかに座りすぎは健康な生活にとって害悪となるのです。
それならとpigmieさんは、立ちっぱなしの生活で体にどんな変化が起きるのか、自らを実験台に調べてみました。
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「1週間立ちっぱなし生活」の結果は?
pigmieさんは1週間立ちっぱなし生活にあたり、「寝るとき以外はすべて座らない」というルールを設けました。
仕事はスタンディングデスクを使い、食事も立ったまま、トイレは中腰で済ませるようにし、移動も車には乗らず歩きにしています。
(※ 動画は記事の最後に添付してあります)
トイレも完全には座らないようにした / Credit: pigmie – I DID NOT SIT For An Entire Week(youtube,2023)
挑戦の結果、pigmieさんが実感した座らないことの最も顕著な効果は「お通じ」に現れました。
以前よりも食事の消化がとても良くなり、快便が続くようになったといいます。
それから立った状態で仕事をすることで、1日の生産性が約30%向上していました。
これは以前の研究かられっきとした科学的な理由が明らかになっています。
立った状態で仕事をすると座った状態よりも血流が良くなり、脳に酸素と栄養が十分に供給されるので、集中力や注意力が高まりやすいのです。
立ちっぱなし生活に挑戦中のpigmieさん / Credit: pigmie – I DID NOT SIT For An Entire Week(youtube,2023)
ところが、立ちっぱなし生活は徐々にデメリットの方が上回っていきました。
pigmieさんによると、立ちっぱなしはとにかく体への負担が大きく、疲労の蓄積や体の痛みを感じ始めたといいます。
仕事の生産性も疲労が溜まるにつれて落ちていきました。
さらに日が経つにつれて姿勢が悪くなり、関節の痛みがひどくなったため、これ以上は無理だと判断し、挑戦は5日目で終わりを迎えています。
こちらが実験前と実験後のpigmieさんの体の変化です。
実験前と実験後の変化 / Credit: pigmie – I DID NOT SIT For An Entire Week(youtube,2023)
実験前より下腹が出て猫背になっており、体重は0.45kgほど増えていました。
これはおそらく、「足腰の痛みや体の疲労を紛らわすために、いつもより多く食べてしまったからだろう」と話しています。
まあ事前に予期されてはいたでしょうが、pigmieさんの挑戦は「極端な立ちっぱなしは体に悪い」という結果に終わりました。
しかし、彼が立ちっぱなし生活の序盤で様々な健康面の改善を感じたと話していたように、座りっぱなしの弊害を軽減させるための努力をすることは有効なようです。
では、1日にどれくらいの運動量をこなせば、座りっぱなしの弊害を軽減できるのでしょうか?