福島からニュージーランドへ、決断から約半年で「スピード教育移住」を実現させた渡部久美子さんの原動力

2021年のインタビューでは、「3人目を出産した月に会社設立」「40歳になったら地方移住」などの行動力とパワフルさを披露してくれた渡部久美子さん。その際、「人生のサードステージは、三男が高校を卒業して、自分自身も55歳になるまでの16年間。その間は子育てに時間も気力もお金もたっぷりかける」と明言し、なんと、2024年にはそのためにニュージーランドに移住したそう。その背景にあった決断や思いなどを聞きました。

子どものポテンシャルを生かす場所を求めて

――前回、「38歳になったこれからは人生のサードステージで子育てを充実させる」と言われていましたが、そのときから海外への移住も考えていたのでしょうか?

いえ、前回お話ししたときは、まったく考えていなかったです。実は、海外移住を考えたのは2023年の9月でした。子育てを充実させるために選んだので、主な目的は教育移住です。

今まで人生のファーストステージとセカンドステージは思い切り仕事に打ち込んでいたので、サードステージの目的は子育てにしようと思っていました。3人目の出産とともに移り住んだ福島県・磐梯町での生活は、本当に子どもにとってもいろんな体験をさせられる環境で楽しかったです。緑が豊かで、夏も避暑地のように心地よくキャンプに行ったり、冬はスノーボードをしたり……。地域の人とのふれあいもあって何ひとつ不自由のない楽しい生活でしたし、私自身も磐梯町の職員として働いていたので、学びもありました。

3年の任期を満了して、福島県磐梯町の町役場を退任

ただ、私は愛媛県の今治出身なので、地方に住むのであれば親のいる今治への移住も視野に入れたいと思い、愛媛県や岡山県などの地方自治体のコンサルタントの仕事もリモートワークで請け負っていました。一方で、磐梯町で職員業務とは別に、教育委員会に対して町民として答申するというお仕事をいただき、教育の専門家にお会いしたり、教育環境に対して学ぶ機会があったんです。ちょうど長男が小学6年生で中学進学を迎えるタイミング。また、私の磐梯町職員としての3年の任期満了が重なる時期でもありました。なので、海外という明確な目的はなかったにせよ、いずれどこかへ移るということは頭の片隅にあったんです。

――いろいろな節目が重なったのですね。しかし、海外移住を考えたのはどうしてですか?

長男のポテンシャルを伸ばすのに最適な環境を求めてのことでした。彼は、学習に対して得意なものとそうでないものとに大きく差あるタイプなんです。たとえば「国語で漢字を覚えるのはとても苦手だけど、社会や理科ならロジックもしっかりしていて論理的に考えられる」という感じです。

この彼の能力は、すべての人が理解してくれるわけではないので、このまま磐梯町に残って進学するのがよいのかどうか夫と話しあったんです。彼はカナダの大学に1年留学していたことがあって、そのときの経験から「日本語はひらがな・カタカナ・漢字とあって、それを習得した上でないと学問にのめり込むのが難しい。英語はアルファベットで形成される単語が理解できればいいので、英語での教育の方が彼には向いているかも」という話になったんです。

インターナショナルスクールに行くという話も出たのですが、そこでも結局日本的なカリキュラムが採用されていたり、通っている日本人同士は日本語で会話していたり、意味がないよねということで、それなら家族で海外に行ったほうがいいねということになったわけです。

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大きな決断は背中を押してくれる人に相談する

――海外に教育移住しようと考えてから、どんな過程を経て、行き先をニュージランドに決断されたのですか?

まず海外教育移住についての相談相手を探すことからでした。最初に相談したのは、磐梯町の町長で、海外に教育移住しようと思うということを相談したところ「それは絶対行った方がいい」「僕の知り合いに詳しい人がいるから紹介する」とおっしゃってくださったんです。実は、私は背中を押してくれる人を探していたんですね。

週末は映画『ホビット』のロケ地を訪ねたり、ザ・マウントの愛称で親しまれているマウント・マウンガヌイの山に登ったり、自然を満喫して過ごしている

次は、仕事で知り合った教育関連の仕事をしている方に相談したところ、海外の教育方針は息子に合うだろうと賛成いただきました。最後は自分の親にも相談しました。自分の母と91歳の祖母にも賛同を得て、“いい”が3つ揃って決断しました。

行き先は、ニュージランドか夫が留学経験のあるカナダかを検討しました。私がリモートワークを続けていく上で時差があまりないことや、ニュージーランドに詳しい方が偶然身の回りに何人かいたことで、情報がたくさんあったのでニュージーランドに決めました。