数々のマンガ実写化作品のなかには大人向けの青年誌のものもあり、そういった原作の過激な描写の再現度はファンが注目するひとつのポイントでもあります。なかには、年齢制限がついており、人によっては引いてしまったものの、その描写がファンから高く評価された人気作もありました。



赤が映える雪景色の世界観もインパクトを残した映画『ミスミソウ』ポスタービジュアル (C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会

【画像】え…っ? 「ミスミソウと同じ年?」「さわやか水着」 こちらが「透明感の暴力」と言われた山田杏奈さんのさわやかショットです(5枚)

エグい描写満載でも世界的大ヒットとなったNetflix作品とは?

 マンガの実写化作品のなかには、原作で描かれたシーンを忠実に再現するあまり、年齢制限がついてしまった作品もあります。激しい描写で人を選ぶものの、そういった実写作品のなかにはストーリーや再現度などをファンから高く評価された作品もありました。

『今際の国のアリス』

 麻生羽呂先生原作の同名マンガを原作とした『今際の国のアリス』は、2020年にNetflixで実写ドラマ化されました。本作は異世界のような廃墟と化した東京を舞台に、主人公「アリス(演:山崎賢人)」が「げぇむ」という謎のデスゲームに巻き込まれていきます。毎回容赦なく襲ってくるげぇむの内容には過激な描写が多く、Netflix内で16歳以上の視聴が推奨される「16+」のレイティングがつきました。

 特に残酷なシーンでは、「かくれんぼ」というげぇむの場面があげられます。かくれんぼは、参加者のうちひとりのみ生存できるルールで、げぇむに脱落すると装着している首輪が爆発して頭部が吹き飛び、死亡してしまいます。生き残る人が残りを裏切って隠れ続けるようなルールになっている過酷なゲームに、アリスは親友を含む4人の仲間たちと参加することになってしまうのです。

 この最悪のゲームによって、疑心暗鬼で友情が壊れかけるも、最終的には残り3人がアリスを生かそうとする、悲しくも感動的な場面が描かれました。 親友たちがアリスの目の前で死んでいく姿は残酷で、本作のなかでも印象深いシーンといえるでしょう。

  デスゲームが題材なだけに残酷なシーンが多いですが、毎回アリスたちを襲う「げぇむ」の内容が鬼ごっこや、参加者たちの騙し合いゲーム、迫りくる洪水から逃げるスペクタクルなど、原作の恐ろしく壮大な世界観が再現され、原作ファンからも高く評価されました。

  現在、シーズン3の制作も発表されており、ファンからは期待の声があがっています。

『隣人13号』

 井上三太先生の『隣人13号』は、2005年にR15指定で実写映画化されています。人気俳優の小栗旬さんと歌舞伎役者の中村獅童さんがダブル主演を務め、当時、大きな話題を呼びました。 作中では、小栗さん演じる主人公「村崎十三」の別人格である「13号」を、中村さんが演じています。

 物語は、少年時代に受けたいじめをきっかけに、十三のなかに凶暴な別人格「13号」が宿り、いじめの主犯格だった「赤井トール(演:新井浩文)」に復讐をするという内容です。

 いじめや二重人格など重めの題材をテーマにした本作の特に注目すべき点は、13号の凶暴性でしょう。物語序盤、気弱な性格の十三と正反対の13号は、アパートの隣人に「うるさい!」と壁を叩かれたことで逆上し、相手をナイフでめった刺しにします。また、ある時は遊園地のトイレで半グレを腸が見えるほど殴り殺すなど、十三自身も徐々に13号を制御できなくなってしまう姿が描かれました。

 そのほかにもグロテスクな殺害シーンが続き、R指定も納得の内容です。しかし、13号の狂気性や、十三の抱える闇などが細かく描写されており、残酷シーン含めマンガに深く向き合った内容が原作ファンからも高く評価されています。

『ミスミソウ』

 東京から転校してきた女子中学生が受ける「いじめ」をきっかけに、スリリングな復讐劇へと発展する『ミスミソウ』(原作:押切蓮介)は、R15指定作品として2018年に公開されています。原作は、あまりにダークな物語ゆえに「メンチサイド(精神破壊)ホラー」ともいわれている作品です。

 大人しかった主人公「野咲春花(演:山田杏奈)」が、いじめがエスカレートした結果家族を失って豹変し、クラスメイトたちを次々と殺していく姿に、目を背けたくなった人も多かったのではないでしょうか。作中、雪が降る山のなかで春花がいじめっ子の目に釘を突き刺すシーンや、その後、彼らを淡々と撲殺する場面、教師が除雪車に巻き込まれる事故の描写など、原作の衝撃シーンが次々再現されました。

 実写化されたことで、赤い血と雪のコントラストがより鮮明に描かれ、春花の復讐劇の残酷さがリアルに描写されています。特に、作品終盤の春花ととあるクラスメイトとの殺し合いシーンは、救いようのない血みどろの展開でグロテスクな描写が満載です。

 過激なシーンは多数ありますが、徐々に心が壊れていく春花の姿は、主演の山田杏奈さんの演技力の高さも相まって、原作の陰湿な雰囲気を演出し、原作ファンやホラー好きから好評を得ました。また、原作とは少し違う切ないラストも注目です。

 押切先生作品が原作の映画では、2024年8月23日公開のホラー『サユリ』も控えています。こちらはまた違う趣の「復讐モノ」で、衝撃描写の数々でR15+指定になっており、こちらも話題を呼びそうです。

※山崎賢人さんの「崎」は正式には「たつさき」