電車に乗っているときに、作者が見かけたひとりの女子高生。にぎやかにしゃべり続けている友達ふたりとは対照的な彼女の様子を見て、作者は……。Instagramで公開されたマンガが、「頑張れ、女子!」と話題です。作者のきなこさんにお話を聞きました。



マンガ「電車で目が死んだ女子高生をみた話」のカット(きなこさん提供)

【マンガ本編】電車で見かけた”目が死んでる”女子高生 「しんどいよね」共感の声

にぎやかな友達ふたりとは対象的…「無」な女子高生

 電車で見かけた女子高生を見て感じたことについて描いたマンガ「電車で目が死んだ女子高生をみた話」が、Instagramで2200以上のいいねを集めて話題となっています。

 作者が電車に乗っていたときのこと。にぎやかにしゃべり続けている友達ふたりとは対照的に、あまり会話にも加わらずうつろな表情で座っている女子高生を見かけました。そんな彼女の様子を見て、作者が思ったこととは……。読者からは、「頑張れ、女子!」「女の子なら、一度は感じる気持ちですね」「作中のセリフ、彼女に伝われ」などの声があがっています。

 このマンガを描いたのは、Instagramでマンガを発表している、漫画家のきなこさんです。きなこさんに、作品についてのお話を聞きました。

ーー「目が死んだ」女子高生とその友達は、どのような様子だったのでしょうか?

 パッと見たときに、彼女と友人ふたりの間の空気感というか、温度感がまるで違っていて。テンションが高くて目まぐるしく回転する会話に入れないというか、疲弊しているような印象を受けました。ひたすら「無」になってなんとかやり過ごしているように、私には見えたんです。

ーーそんな様子の彼女を見たとき、きなこさんはどのような気持ちになりましたか?

「あっ、こういうの、10代後半まではあるよな」「10代ってしんどいよな」と思いましたね。

ーーきなこさんにも、過去に彼女と似たような経験はありましたか?

 小学生のとき、自分とは合わない、流行に敏感で派手な友達と一緒にいた時期がありました。彼女たちを嫌いなわけではなかったのですが、離れたい気持ちもあり、でもほかのグループにも入れず、少し無理をしていましたね。

ーー自分が合わないと感じた人たちとはどのような接し方を心がけていますか?

「1対1で合わない」と分かる人には、次回から距離をとります。ただ「1対1だととても気が合うのに、3人になるとなぜか自分だけうまくからめない、ノリで嫌な感じにいじられる」という複雑な現象もあるので、グループでの立ち回りは難しいですね。

ーー作品について、どのような意見が寄せられていますか?

「この娘の気持ち分かる」「自分の10代の頃を思い出しました」「どうして女子はこうも大変なのか……」「本当に大変なのは彼女じゃなくて、現実を生きている友人たちの方かも」などのコメントをいただきました。共感の意見が多かったのですが、違う角度からの感想もあって、いろいろと考えさせられましたね。

ーー今回のマンガを描いたきっかけを教えて下さい。

 ここ最近、何か月もマンガを描いていなかったのですが、たまたま電車で目にした光景がとても心に残っていたので、「記憶が鮮明なうちに、この感情をうまく表現できたら」と思い、久しぶりにスピード重視で殴り描きしました。

ーーマンガを描き始めたのは、いつ頃からでしょうか?

 マンガは小学生の頃から描いていました。SNSでは主に私自身の幼少期や中学生の頃のエピソード、育児や日常のふとしたエピソードなどを描いています。

ーー創作活動で今後、取り組んでいきたいことを教えて下さい。

 エッセイマンガはとにかく自分の心が揺れたエピソードを、シンプルに自分が見たまま、描いていきたいですね。