被爆地である広島と長崎のU-15代表がサッカーを通して平和を学ぶピースマッチを開催!

 広島と長崎で平和を発信するピースマッチは、2018年にサンフレッチェ広島とV・ファーレン長崎によるJ1のリーグ戦で行なわれたことが始まり。翌年以降は、長崎のJ2降格によりトップレベルでは実施されていないが、この試合をきっかけに、U-15年代によるピースマッチが毎年、祈りに包まれる8月の広島で行なわれるようになった。

 U-15の広島県と長崎県代表が行なうピースマッチは、Jリーグでピースマッチが開催されないことを残念に思った松井一實広島市長が発起人となり、2019年より行なわれている。今年は、「HiFA 平和祈念 2024 Balcom BMW PEACE MATCH」として、エディオンピースウイング広島で開催された。
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 ピースマッチは8月7日の16時にキックオフ。午前中に両チームは献花を行ない、広島平和資料館を訪問。感想を述べ合い、発表するなど平和学習を行なった。

 宮崎で育った染田昊君は、長崎出身のチームメイト同様の平和学習経験はないものの、中学の修学旅行で長崎原爆資料館を訪れた。

 今回はそれに続いての機会となり、「長崎と広島では戦争により多くの人が犠牲になりました。小さい子どもや誰かにとっての大切な人が亡くなり、夢を叶えたりして、長く生きられるはずだった人生が終わってしまった。それはとても悲しいことだと思いました」と話し、だからこそ、「当たり前ではない、サッカーができる環境に感謝して全力でプレーしたい」と語った。
 
 ガンバ大阪のレジェンドのひとりで、現在は長崎でアカデミーダイレクターを務める松波正信さんは、ピースマッチに出場する長崎U-15選手の視察でピースマッチを訪問。強化とともに、大会の両輪である平和祈念について尋ねると、「やっぱり同じ想いを抱えている両県の代表が、平和の想いを伝えたり、試合を通じて交流をするというのはいいですよね。それが各年代でできていることが素晴らしいと思います。長崎の子どもたちを見ていても平和への意識が高いのを感じます」と語った。
 
 ピースマッチならではなのが、両チームの着用したユニフォームだ。エキップメントパートナーとしてヒュンメルが担当したピースユニフォームは、世界でたった2つの被爆地が共に平和を祈念するというコンセプトを表し、広島の原爆ドームと長崎の平和祈念像を両チームのシャツにデザイン。

 今年のユニフォームは、折り鶴を連ねた幾何学パターンをベースに、胸には大きく平和の象徴であるハトを『SHARE THE PEACE』というメッセージとともに羽ばたかせ、未来に広がる平和をイメージしている。

 今年100周年を迎えた広島県サッカー協会の宗政潤一郎会長は、「ピースマッチは数ある取り組みの中でも最も重要な大会のひとつで、広島ならではの大会だと思っている。平和だからこそできるサッカー。選手たちには広島で見聞きし、感じ、考えたことを帰ったら伝えてほしい。来年は被爆80年。もっと充実した大会に、もっと平和を考え、伝えられるピースマッチにしていきたい」と、すでに来年を見据えていた。