松下奈緒が主演するドラマ「スカイキャッスル」(テレビ朝日系)が毎週木曜よる9時から放送中だ。韓国の人気ドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」を世界初リメークした本作は、誰もがうらやむ経歴と容姿に恵まれた完璧セレブの主人公・浅見紗英(松下)をはじめとする高級住宅街「スカイキャッスル」で暮らすセレブ妻たちが、夫の出世や子どもの受験でさらなる頂点を目指す“ドロ沼マウントバトル”。

 本作で、ケタ外れの報酬を受け取り、子どもたちを志望校に100パーセント合格させる敏腕受験コーディネーター・九条彩香役を演じている小雪が、ドラマの魅力や自身の子育ての流儀などを語ってくれた。

―今回、人気の韓国ドラマをリメークする作品で、小雪さんは原作を見られていたそうですが、本作の企画を聞いたときのお気持ちはいかがでしたか。

 韓国版のドラマが非常に面白かったので、最初はこの完璧に完結された作品を私がやってどうするの? と思いましたし、原作の九条役の女優さんが素晴らしくて、大好きな女優さんの1人なので、私が演じることにプレッシャーも感じました。

―日本版の脚本を読んだ感想を教えてください。

 原作では20話あるものを、日本の連ドラの本数規模に落とし込まなければならないので、そこは非常に困難な作業だと思っています。日本版では、松下さんが演じる浅見紗英と九条を軸に、原作とはまた少し違った関係性で九条の秘めている秘密も描かれていくので、日本の人たちがこの作品をリメークすると、どういう方向になるのかというゴールが見えてきています。どの話を見ても日本のドラマにはない、ものすごくドロドロした愛憎劇になっているので、すごく新鮮だなと思います。

―ミステリアスな受験コーディネーター・九条役を、どのようなところに気を付けて演じていますか。

 九条は自分が生きてきた中でできた偏った概念を真実だと思って、信念を持って生きている人です。人から見ると度が行き過ぎたり、少し怖いなと思うところもありますが、強い人なので、何か目標を達成したい人の前では魅せられるものがあるのではないかなと思います。セレブ妻たちを魅了して引っ張っていく役なので、そういう緊張を楽しんで演じています。

―小雪さんも3人のお子さんがいらっしゃいますが、小雪さん自身は本作に登場する妻たちのマウントバトルをどのように見ていますか? 子どもに教育熱心過ぎるがゆえの行動など、共感できる部分はありますか。

 私は個人的には、そういうタイプの人間ではないので、感覚的には、そういう人たちもいるのねという感じで蚊帳の外の存在です。あまり他人評価の中で生きていくタイプではないですし、自分の子どもにどこの立ち位置にいてほしい、どうあってほしいという思いが強くない方なので、気持ちは理解できますが自分はやっていないです。一方で、九条の冷静さも一理分かります。誰しも自分が得られなかった成功を子どもで成し得ようとする親の性(さが)みたいなもの、自分ができなかったことを子どもにやってほしいとか、夢をはせたい親の気持ちもあるのかなと。子どもにとっていいかどうか、自分がしたいかどうかは別として、そういう気持ちは分かるなと思います。

―劇中では子育てで成功するために“子どもの受験”で頂点を目指す女性たちの姿が描かれますが、小雪さんが考える“子育ての頂点”とはどんなことだと思いますか。

 それを知っている人がいたら教えてほしいです(笑)。子どもも100人いれば100人が違う子ですし、そういういろんな人がいて社会が成り立っているので。うちの子たちはあまり勉強が好きではないのですが、その中でも何の勉強だったら好きなのかな、本人たちが何をやりたいのかなというのは悩みながら模索中なので、私も今子育てされている皆さんと一緒です。自分が子どもの頃は英語や体育、音楽などの科目が好きだったのですが、それをわが子が受け継いでいるのかもまだ分からないですし、10歳前後で全てを決めるのは違うかなと思うので、いろんな経験をさせた上で、子どもは子どものタイミングでやりたいことが1つでも見つかれば、それを信じて伸ばしてあげたいなと思います。どんなことも続けてくれれば身になると思いますし、子どもを“信じて”というのがポイントだと思います。

―子育てをする上で大事にしていることやモットーはありますか。

 私の信念は“体を健康にしてあげること”です。教育よりも食育で、体が健康であれば何でもできますよね。勉強ができても体が弱ければ続けられないですし、そのために私は食育に力を入れています。なるべく手作りの物を食べさせる。たとえ品数が少なくても、自分のエネルギーで作った物を子どもに食べさせることをモットーにしています。今日も朝8時に家を出る前に、3人の子どもたちのお弁当を作って来ました。ご飯はかまどで炊いて、パンを食べたい子にはパンを焼いてあげて。

―お仕事をしながら、3人のお子さんそれぞれのリクエストに対応されているのはすごいですね。

 できる範囲でしています。今、子どもたちは夏休みなので、仕事に行く前にかまどで炊いたご飯をおにぎりにして置いて来たり。女優以外にも普通の仕事が結構たくさんあるんです(笑)。

―本作に登場するセレブ妻たちのように、子どもの受験に関して悩まれる親御さんも多いのかなと思います。小雪さんはお子さんの受験については、どんなふうに考えていますか。

 私は子どもの受験にはあまり興味がないんです。ただご両親が小学校や中学校から私立に通われていて、ご両親もその学校の出身でという場合は、自分たちが来た道を子どもにもたどらせる方が楽という考えもあると思いますし、どの親も間違っているとも、正しいとも言い難いなと思います。私の劇中のせりふにもあるのですが、自分の経験した人生の基軸をたどることが正しいと思う親の気持ち、それが子どもにとって正しい道か、苦しい道かは分からないですよね。親が子どものためによかれと思ってしたことがエゴと呼ばれるのか、愛と呼ばれるのか、それは親の役目なのか。このドラマはすごく行き過ぎた内容の話に見えるかもしれませんが、今の社会問題に通じるものもありますし、悩めるポイントがたくさんあるなと思います。

(取材・文・写真/小宮山あきの)