飲食店で「ナマコを最初に食べた人って何でナマコを食べようと思ったんだろうね?」という何気ない会話を聞いた主人公は、妄想を始めました。時は縄文時代、海男の父親が海中のナマコで足をすべらせて……? 漫画家の雨宮律さんが連載していた歴史グルメファンタジー『初めて君を食べたら』が面白い!
父親の事故死で、ナマコに復讐心を燃やす男(雨宮律さん提供)
【マンガ本編】初めてナマコを食べたのは、ナマコに復讐したい男!? 縄文時代の海の男がナマコのせいで事故に?
ナマコ、ウニ、タコ…何で食べようと思った?
飲食店で「ナマコを最初に食べた人って何でナマコを食べようと思ったんだろうね?」という何気ない会話を聞いた主人公は、妄想を始めました。時は縄文時代、海男の父親が海中のナマコで足をすべらせて命を落とす悲劇がありました。息子はナマコを憎み、「一匹残らず絶滅させてやる」と心に決め……?
漫画家の雨宮律さん(@amamiyaritu)がマンガアプリ「GANMA!」にて連載していた『初めて君を食べたら』をご紹介します。第1話の「初めてナマコを食べたら」をはじめ、ウニやタコなど、今では当たり前の食材を最初に食べた人はどうして食べようと思ったのか? そんな疑問に焦点を当てた作品です。各エピソードは全て主人公の「妄想」でありフィクションですが、ストーリーが面白く、「そうだったのかも」と思わせてくれる、そんな「歴史グルメファンタジー」です。
作者の雨宮律さんに、お話を聞きました。
ーー『初めて君を食べたら』は「食材を最初に食べた人」がテーマということで発想が斬新ですね。このお話が生まれたきっかけを教えて下さい。
連載枠をいただき、何を描こうかと考えていた際に担当から「こんな話があって……」とある程度固まった状態で企画を打診された感じだったと思います。私自身、小学生の頃、給食を食べる際に「私は今遭難してる……これは唯一の食料のパン……」などと妄想しながら食事をしてた思い出があり、内容に共感ができたので、「じゃあそれやります」と話が進みました。
ーー1話「初めてナマコを食べたら」はナマコを憎む男がナマコを初めて食べたという「妄想」が面白かったです。このお話はどのように思いついたのでしょうか?
もしかしたら、当時、いわゆる「復讐もの」がはやっていたので、それにならって1話目はナマコに復讐する話としたような気がします。
なかなかな外見や生態をしているナマコが現在高級食材として食べられている点から感じる、人間の食に対する執着の凄まじさは、「食欲」を超えた、何か裏があっても不思議じゃない……むしろそうである方が腑に落ちる、そんなことを考えながらストーリーを作っていました。
ナマコを食べようと思った瞬間!(雨宮律さん提供)
ーー1話「初めてナマコを食べたら」は縄文時代が舞台ですが、マンガを描くうえでこだわったポイントなどはありますか?
学校で習った程度の知識しかなかったので、実際に遺跡を見に行って描写の参考にしました。縄文時代に生きた人間がどんな味に慣れ親しんでおり、そして未知の味に対してどんな感動を覚えるのか、展示資料から想像し、まさしく妄想が膨らみました。
ーー2話以降に登場する食材やストーリーについて教えて下さい。
エルカルゴやウニ、ドリアンやコーヒーなど、さまざまな食材であんな妄想やこんな妄想が繰り広げられます。過激すぎるとして(笑)ボツ案になったのを、設定から修正して掲載に至ったという経緯を持つコーヒー回は、そうと知って読むとますます味わい深いと思うので、ぜひ!