第3期が放映されているTVアニメ『転生したらスライムだった件』では、にぎやかな展開が続いています。ですが、そこにいたるまでには苦難の道のりがありました。今回は、悲しみがぶり返しそうな『転スラ』の鬱展開を振り返ってみます。
TVアニメ『転生したらスライムだった件 第3期』キービジュアル (C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
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『転スラ』第2期に起こった悲劇の数々
2022年に劇場版も公開された、アニメ『転生したらスライムだった件』(以下、転スラ)の、第3期第2クールが放送中です。主人公の「リムル=テンペスト」は、誤解のすえに死闘を繰り広げた「ヒナタ・サカグチ」とも和解して、「開国祭」の明るい展開が続いています。ところが、第2期は鬱(うつ)になる展開も多いパートでした。
※この記事にはTVアニメ『転生したらスライムだった件』第2期の記述があります。未視聴の方はご注意下さい。
第2期の6話「厄災の前奏曲」では、リムルが自国を離れている間に、敵対する魔王「クレイマン」の謀略がリムルの国に襲いかかります。特に目にあまる行為が、ファルムス王国から送られてきた異世界人たちの凶行です。「キララ・ミズタニ」は「狂言師(マドワスモノ)」という、言葉だけで相手の意思を誘導できる能力で「ゴブゾウ」を痴漢の冤罪に仕立てあげました。
その騒動が発端となり、市街で戦闘が起こって、女子供も含めた住人たちの2万人近くが大量虐殺の憂き目にあってしまいます。並べられた死体のなかには、リムルの側近であり、子供をかばって殺害された側近の「シオン」も含まれていました。美人ヒロインの死亡と大量虐殺のショックは計りしれません。
また、異世界人の残りふたりも残忍な行動で視聴者のヘイトをあおりました。「キョウヤ・タチバナ」は相手を殺すときにあえて急所をはずして、相手が苦しむのを楽しむゆがんだ人物です。同じく「ショウゴ・タグチ」も凶暴な冒険者で、スキル「乱暴者(アバレモノ)」でもって暴力を好み、味方であるはずのキララを絞殺して自分を回復させるほどの外道です。
それに、作中でも人気キャラの「ミリム・ナーヴァ」が、クレイマンに洗脳されて敵側に回ってしまったこともストレスでした。「魔王達の宴(ワルプルギス)」でも、クレイマンは「さっさと歩けこのウスノロ」とミリムの頭をド突いたり、いちいち癇(かん)にさわる行動が目立ちます。
さらにクレイマンの配下である氷結魔剣士「ヤムザ」も、「悪徳を極めた下衆(ゲス)」と評されているように、ミリムの配下を挑発して兵士の片腕を斬り飛ばすなど、横暴が目立つ凶悪な敵キャラクターでした。
数々のストレス展開が目立つ『転スラ』第2期ですが、悪人がみじめに殺される展開も、盛大に描かれています。異世界人3人はいずれもブザマな最期を遂げますし、クレイマンもリムルに完膚なきまでに叩きのめされます。最期は後悔しながら、リムルの覚醒した能力「暴食の王(ベルゼビュート)」によって、魂まで食らい尽くされて消滅させられてしまいました。
ヤムザもリムルの片腕である「ベニマル」によって焼き尽くされて死亡します。さらに利権を得ようとリムルの国に攻め込んだファルムス王国の国王、宮廷魔術師、西方聖教会の大司教の3人に至っては、箱に詰められた肉塊のまま生かされるというグロテスクな罰が下されました。
『転スラ』の気持ち良さのひとつに、「因果応報」があると感じます。悪いことをした人物は、それ相応のひどい責め苦にあって、自業自得の末路を迎えます。溜まったストレスからの「ざまぁ」展開で、視聴者が大きなカタルシスを得られることも、『転スラ』人気のひとつといっていいかもしれません。
余談ですがミリムは操られた「フリ」をしていたことが、のちに発覚します。クレイマンの背後にいる黒幕をあぶり出すためとはいえ、ぞんざいに扱われても反撃を我慢した演技力(感情が顔に出そうになったときには、苦手なピーマンを口に含んで無表情を決め込んでいた)に、リムルも私たち視聴者も、まんまとだまされてしまいました。