「ドラゴンクエスト」シリーズの魅力といえば、個性豊かなキャラクターたちもそのひとつでしょう。なかには、プレイヤー発祥の「あるある」を公式が導入したキャラクターもいました。



イケメンなのに通称がタンバリンな「ククール」 画像はニンテンドーDS版『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』プロモーション映像 第2弾より

【画像】え、「アリーナに片思いするクリフト」の元ネタってコレか! こちらが「ドラクエ」シリーズの懐かしさこみ上げるマンガの表紙です(4枚)

意味が分かると面白い! 公式が悪ノリしたネタキャラの扱い

「ドラゴンクエスト」シリーズには、さまざまな個性を持つキャラクターが登場します。なかにはプレイヤー発祥の「あるある」を、公式が導入したキャラクターの例もありました。

 例えば『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の「クリフト」です。クリフトは便利な呪文を覚える仲間キャラで、「ドラクエ」シリーズのなかでも高い人気を誇ります。そして人気キャラであると同時に、ファミコン版において、AI機能に行動を任せたときに、即死系呪文が無効のボスに対しても「ザラキ」を連発しまくる「ザラキマシーン」としておなじみです。

 この「ザラキマシーン」ネタが、外伝のアクションRPG『ドラゴンクエストヒーローズ』で逆輸入されました。本作でクリフトがバトル中、必殺技の「ザラキーマ」をくり出す際、発動するまでの間にザラキを連発しては「しかし、きかなかった」とミスを連発して悔しがるという演出が発生します。そして、覚悟を決めたクリフトは立ち上がり、ザラキーマを放って相手にダメージを与えるのです。

 敵に対して無効となったザラキに頭を抱えるクリフトの様子は、当時『ドラクエ4』で遊んでいたプレイヤーと同様の心境です。この覚えのある光景に対し、ファンからは「お前、自分でも悩んでたのか……」「ようやく学習したか」といった声があがっていました。

「ドラクエ」界のネタキャラといえば、『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』の「キーファ」も外せません。キーファは『ドラクエ7』で最初期から仲間として旅をしますが、中盤になり、私情でパーティを離脱してしまいます。そのため、ファンからは「種泥棒」という不名誉な通称で呼ばれています。

 外伝作品であるデジタルカードゲーム『ドラゴンクエストライバルズ』では、キーファが「トルネコ」専用のカードとして登場しました。

 その性能は、個別のキャラにバフをかけることができる、サポートアイテムの「種カード」を駆使して戦うというものです。キーファが敵にやられると、プレイヤーの手元に消費した種が返還され、キーファは「受け取ったものは返さないとな!」というセリフを残して消えていきます。『ドラクエ7』プレイ当時のキーファへの怒りが再燃すると同時に、不思議と笑ってしまう逆輸入ネタです。

 ほかには、何でもできるイケメンゆえに、ネタ化してしまったキャラもいました。それは『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』の「ククール」です。長い銀髪の美しい青年で、一見ネタ枠とは無縁に思えますが、ファンの間では「タンバリン」というあだ名がついています。

 タンバリンは、戦闘時に味方全員の「テンション」をあげるアイテムです。回復役のククールはバトル序盤に手が空きやすく、ステータスは高すぎるわけでも低すぎるわけでもなく、どちらかというと器用貧乏な面があります。ゆえに、バトルではタンバリンを叩く要員となり、「タンバリン男」「音楽家」というあだ名が付きました。

 そういった背景があって、『ドラゴンクエストヒーローズII』『ドラゴンクエスト ライバルズ』で、公式がこの要素を逆輸入しました。本作ではタンバリンがククール専用特技として登場し、無気力かつ投げやりな表情でタンバリンを叩いて踊るククールの姿が見られます。

 この姿に対し、「いつもタンバリン叩いてくれてありがとう」「お前は重要なポジションだよ」と、ククールへの感謝の気持ちを表すファンが相次ぎました。意味が分かる人ほど思わずニヤッとしてしまうネタの数々は、プレイヤー側のツボを絶妙に突いてきている、公式のプロデュース力の高さがうかがえます。

ニンテンドー3DS版『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』:
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