失点しても動じず。“自分たちなら取り返せる”と。「サッカーを楽しくやれている」横浜FCの福森晃斗は泰然自若「ネガティブな気持ちになった時点でダメ」

 横浜FCは8月17日、J2第27節でザスパ群馬と敵地で対戦し、2-1で競り勝った。これで13戦負けなし。勝点57で2位につけ、首位の清水エスパルスとは1ポイント差だ。

 群馬戦では開始10分にガブリエウの得点で先制。福森晃斗の右CKをヘッドで叩き込んだ。前半終了間際の45分に川本梨誉の強烈なミドルで失点。迎えた後半、59分に山根永遠のクロスからユーリ・ララが勝ち越し弾を挙げ、最後までリードを守り抜いた。

 嫌な時間帯に追いつかれたが、そこで崩れることなく、しっかりと相手を突き放して、勝利を掴む。その戦いぶりに、以前に福森が話していたことを思い出した。

「優勝して昇格するにあたって、やっぱりメンタルの部分も大事だと思います。天狗になっているわけではなくて、気は引き締めていますけど、気持ち的には“やられないから大丈夫”っていう、良い意味でそういう気持ちです。失点しても返せるでしょ、みたいな。良いメンタリティが保たれていると思うし、それを保つことが重要」

 27節を終えた時点で、総失点16はリーグ最少。横浜FCは堅守を売りにしているなかで、心の持ちようで福森なりの考え方、スタンスがある。

「失点したくないっていうネガティブな気持ちになった時点でダメだと思います。勝者のメンタリティってやっぱり、“いくらでもいいよ、攻めてきてください、自分たちは守れるから”みたいな。そっちのほうが絶対、前に出ますし、そのなかで失点しても慌てずに、“自分たちなら取り返せる、残りの時間もあるし”という気持ちのほうが絶対に良い」
【動画】福森晃斗が今季13アシスト目! 勝ち越し弾の起点になるパスも
 どんな状況にも動じず、堂々と構える。泰然自若。福森は「自分は黙々とやっているだけ」と言うが、ポジティブにサッカーができているのも大きいのだろう。

「今、自分の気持ち的にも、本当にサッカーを楽しくやれている感情がある。ネガティブな気持ちがあんまり出てこない。その楽しむっていうのも、大事かな、と。それが今、一番大きな感情ですね」

 昨季は札幌で思うように出場機会を得られなかったこともあり、プロとして「試合に出ること」にこだわる男は今季、横浜FCに新天地を求めた。ここまでの27試合にすべて出場しているレフティを、桐光学園の先輩でもある中村俊輔コーチも「フクも試合に出て、プレー時間も長くなって楽しそうだよね」と見ている。

 群馬戦で先制点をお膳立てし、これで今季13アシスト目。J2でダントツの数字だ。自慢の左足で得点につながる決定的な仕事を果たし、本職の守備も献身的にこなす31歳が、様々な側面でJ1昇格を目ざすチームを下支えしている。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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