パリ五輪でのなでしこジャパンの最大のハイライトを選ぶなら、ブラジル戦での谷川萌々子の活躍だろう。なかでも、後半アディショナルタイムに決めたループシュートはインパクト抜群で、「谷川」の名を世界に知らしめる一撃だった。
ブラジル戦で眩い輝きを放ったからこそ、アメリカとの準々決勝でメンバー外になった時の「喪失感は半端なかった」と識者の河治良幸氏は言う。
「何かアクシデントがあったと、それを知っている人でも『ここにいたら…』と思ったはずです。もちろんブラジル戦に比べるとアメリカ戦のほうが守勢で、谷川選手がいて勝てたとは断言できませんが、勝負どころで切れるカードとして彼女がいてほしかったです」
国内合宿で全体トレーニングに合流できなかった谷川は、ナイジェリア戦後から体調不良だったそうで、コンディションが整っていなかった。それでも…。
アメリカ戦の終盤、仮に谷川がピッチサイドに立って投入されていたら、スタジアムの空気を一変させる効果を期待できたかもしれない。「ブラジル戦で奇跡を起こした彼女が、アメリカ戦でもきっと何かやってくれる」と。
今更そんなことを言っても無意味なのだが、アメリカ戦の欠場は「本当に残念だった」(河治氏)。
パリ五輪での無念は今後のサッカー人生で晴らしてほしいが、谷川は「バロンドールを目指す」と言っているそうだ。
「アンダー世代の代表で取材した時、彼女は『バロンドールを獲る』と言っていました。五輪イヤー、W杯イヤーに活躍したから獲得しましたではなくて、毎年その候補者に入ってくるようなパフォーマンスを期待したいです」(河治氏)
谷川がそうなれば、なでしこジャパンも進化できるはずだ。
構成●サッカーダイジェストTV編集部
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