「ボールが動けば動くほど、自分の特長は出る」
以前までの“ハイプレス&ショートカウンター”を基軸としたスタイルから、3バックの両ストッパーを起点としたポゼッションサッカーへと姿を変えつつある今季の湘南ベルマーレ。シーズン終盤戦の鍵を握りそうなのが阿部浩之だ。
阿部は今年の6月27日に「内視鏡下、右膝関節内遊離体摘出術」の手術を決断。8月の頭までリハビリに励み、8月11日のFC町田ゼルビア戦(1-0)でメンバー入りを果たすと、翌節の柏レイソル戦(1-2)で約2か月ぶりの出場を果たし、90+9分にPKかで得点を決めた。
サイドボランチ(インサイドハーフ)や2トップの一角を主戦場とする阿部は、離脱中から変化を遂げているチームについて、次のようにコメントする。
「上から見ていて、(自分が復帰したら)入りやすそうだと思っていました。離脱する前のサッカーと比べれば、得点の匂いがするようになったかなと。ゴール前に顔を出してチャンスを作りながら、自分が決めるのか、周りに委ねるのかを判断しつつ、良い攻撃をしたいですね」
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阿部が離脱前に最後に出場した6月16日の名古屋グランパス戦(1-1)でも、チームに“ポゼッション化”の片鱗が見え始めていたが、今ほどの完成度には至っていなかった。
現在の形が定着したのは、今季初めて髙橋直也、キム・ミンテ、鈴木淳之介が3バックを組んだ7月6日の浦和レッズ戦(3-2)だ。この日の勝利でビルドアップの手応えを掴み、そこから町田戦までのリーグ戦5試合を4勝1分と好成績を残した。
柏戦では6月30日の京都サンガF.C.戦(0-1)以来6試合ぶりに敗れたものの、阿部は「変わらずやり続けたい」と語る。
「(柏戦は)引かれた時にどう崩すのか、という面で課題が出た。みんながまだボールと受け手と出し手だけの関係になりがちです。無駄走りになるかもしれないけど、3人目の動きを増やして、上手く使えれば、相手の守備に穴ができたり、味方の誰かがフリーになったりする。
チームとして意図的にそういった狙いを出せるようになることが、強くなる秘訣だと思いますし、まだ足りない部分です。この段階で課題が出たのは、チームが成長するチャンスだと捉えています」
Jリーグの中でもポゼッションサッカーの印象が強い鬼木達監督の川崎フロンターレに3年間(17~19年)在籍した経験を持つ阿部は、湘南の新たなスタイルの中でも、持ち味であるアイデアや技術を存分に発揮できるだろう。
阿部の復帰で、チームは再び上昇気流に乗れるか。8月24日の次節・名古屋戦は、J1残留を争うライバルとの直接対決(湘南は17位、名古屋が14位)。自分たちのスタイルを示しつつ勝利できれば、大きな自信を得られるはずだ。
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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