再現性の良いスイングの秘訣とは?トップ女子プロ3人のスイングを解説

今回は、米女子ツアーで戦っている女子プロから、スイング軌道を安定させたり、飛距離を伸ばす世界で渡り合えるテクニックを解説していく。

最初に紹介するのは、古江彩佳選手。

バランスをキープする “ツマ先立ち” で軌道が安定

体の伸び上がりを防いで重心を低くする

昨シーズンの年間ポイントランキングで10位になった古江彩佳選手は、今季も2試合連続で4位に入るなど絶好調です。ドライバーの精度はトップクラス。ただし、決して教科書どおりのスイングではありません。

ハーフウェイバック(❷)では、ヘッドが理想的な位置より少し後ろ(背中側)を通っています。クラブを上げる初動で右ヒザを伸ばさないことで下半身はツマ先側に体重を残し、ヘッドをすぐに背中側に下げて後方へクラブの重さがかかるようにして前後のバランスを取っています。このとき通常はシャフトクロスになるのですが、古江選手は右手首の力を抜き、レイドオフのトップを作っています。トップのポジションはお手本どおりのレイドオフといってもいいくらい参考になる形です。

切り返し以降は、右ワキ腹を縮める右側屈という動きを入れ、クラブ軌道とフェース面の管理をしてます(❺)。この右前腕とシャフトが重なるポジションはトッププレイヤーに多く見られる動きで、スイングを見る際はぜひ参考にしてください。

もうひとつ、古江選手のスイングでマネしてほしいところは、重心を低くして体幹を安定させているところ。バックスイングでも体全体が伸び上がらないので、再現性の高いスイングになっています。

古江彩佳

●ふるえ・あやか / 2000年生まれ、兵庫県出身。153cm。2022年からアメリカに移り、トラストゴルフスコットランド女子オープンで初優勝。今年はトーナメント・オブ・チャンピオンズとドライブオン選手権で4位に入るなど、2勝目が期待される。富士通所属。

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ノーコックの高いトップと “左手の掌屈” で飛ばす

スライスしない ポイントは 左手首の使い方

身長157センチの勝みなみ選手は、欧米の選手と比べると決して体が大きいわけではありませんが、米国女子ツアーでの平均飛距離は260ヤード前後と、飛距離を武器にして戦っています。

飛ばせるポイントのひとつは、バックスイングでほとんどコッキングをしていないところ(❷)。手首をすぐに曲げるとスイング軌道は小さくなってしまいますが、勝選手はノーコックでヘッドを上げるので小さい体でもスイングアークが大きい。コッキングをしないことによって打ち急ぎがなくなり、手ではなく体を回すことができるのでとても力強いスイングになっています。アマチュアでどうしても手だけでクラブをヒョイっと担いでしまう人でも、腕の使いすぎを抑えることができるでしょう。

ダウンスイングではかなり体を回転させて打つ特徴があります(❹❺)。通常はクラブがカット軌道になりスライスなどのミスが出てしまいますが、勝選手の場合、左手首を掌握することでヘッドを遅らせ、フェースを閉じながら打つことができています。この左手の掌屈でフェースと軌道を安定させて、飛距離と方向性を上げています。

勝みなみ

●かつ・みなみ / 1998年生まれ、鹿児島県出身。157cm。昨シーズンから米ツアーに参戦し、DIOインプラントLAオープンとアニカ driven by ゲインブリッジで7位に入った。国内では7勝を挙げている。明治安田生命所属。