知的障害と自閉症を合わせ持つ息子がある日、階段で足をぶつけてしまい、泣きながら母にそのことを訴えてきました。言葉で状況を伝えてくれるようになったことに、しみじみと喜びをかみしめる母でしたが、頭の片隅であるフレーズが思い浮かんでしまい……。Instagramで公開されたマンガが話題の作者、ぼさ子さんにお話を聞きました。
マンガ「説明してくれる自閉症息子」のカット(ぼさ子さん提供)
【マンガ本編】知的障害と自閉症を持つ息子、泣きながら訴える! 母の心の中はうらはらに…?
発語が苦手な息子が状況を説明してくれた!
息子が階段で足をぶつけたときのエピソードについて描いたマンガ「説明してくれる自閉症息子」が、Instagramで3300以上のいいねを集めて話題となっています。
発語や人とのコミュニケーションが難しい、知的障害と自閉症を合わせ持つ息子。日々おしゃべりを練習中なのですが、ある日、階段で足をぶつけ、泣きながら母に訴えてきました。何度も繰り返し、足をぶつけたときのことを言葉で伝えてくれる息子の成長に感動しながらも、母の頭の片隅にはあるお笑いのネタが浮かんで……。読者からは、「私も思いました(笑)」「息子さん、きちんと言葉にできてスゴイ」「久しぶりに思い出しました」などの声があがっています。
このマンガを描いたのは、ブロガーのぼさ子さんです。Instagramやブログ「ほぺろうの自閉症マンガ」などでマンガを発表しています。ぼさ子さんに、作品についてのお話を聞きました。
ーー初めてぼさ子さんの作品を読む方に向けて、息子さんについて紹介していただけますか?
息子「ほぺろう」は、知的障害と自閉症を合わせ持っており、現在は特別支援学校に通っています。ずっと諦めていた発語が、小学生になってから出始めました。
ーー「まだまだおしゃべりの練習中」とのことですが、主にどのような練習をしていますか? また、最近話せるようになった言葉などはありますか?
話せる単語は少しずつ増えていますが、会話などのコミュニケーションはまだまだ難しいので、いまは「痛い」「お腹空いた」など、自分の状況を伝えられる言葉を練習中です。また、最近は「やめて下さい」を覚えたので、「NOといえる日本人」に育ちつつあります。
ーー泣きながら、ぶつかって痛かった状況を説明してくれた息子さんを見て、どのように感じましたか?
少し前までは、同じ状況でも泣いて暴れることしかできなかった息子が、「何が起こったか」を教えてくれるようになったなんて……と、ケガの状態を確認したあと、感慨深い気持ちになりました。
ーーこのとき、息子さんにケガはなかったのでしょうか?
幸い、本当に大したことがなかったので良かったです。その後は、すぐ何ごともなかったかのように走り回っていました(笑)。
ーー作品について、どのような意見が寄せられていますか?
作中に出てくる「お笑いネタ」に、共感して下さる方が多い印象でした。また、私の手柄ではなくお笑いネタのおかげではありますが、この作品をきっかけに、私のほかの作品も見て下さった方もいて、とてもうれしかったです。
ーー今回のマンガを描いたきっかけを教えて下さい。
息子の伝える力が伸びてきたことがうれしかったのと、緊急時でもお笑いネタを思い出してしまう自分に「私も心の余裕ができて成長したもんだ……」と思ったことがきっかけです。
ーーマンガを描き始めたのは、いつ頃からでしょうか?
息子の障害について発信し始めたのは、2020年からです。SNSでは主に障害児育児を通して学んだことや、私が面白いと感じた息子のエピソードなどを投稿しています。
ーー創作活動で今後、取り組んでいきたいことを教えて下さい。
「それなりに暗い障害児育児を経験してきた私も、いまは息子がかわいくて、面白おかしく気楽に暮らせている」ということが伝えられるマンガを、今後も発信していきたいと思います。