マンガの目を覆いたくなるほどのグロテスクなシーンは不快感を覚える人もいるためか、アニメでは直接的な描写が規制されているケースも多々あります。しかし、黒や白の光を入れたり、ぼかしたりして規制を入れた結果、 シュールな光景になりギャグのように見えてしまった作品も少なくありません。
アニメ『テラフォーマーズ』Blu-ray1巻(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント) (C)貴家悠・橘賢一/集英社・Project TERRAFORMARS
【画像】え…っ?「いや~ッ!」「規制があってもムリな人はムリ」 こちらが『テラフォーマーズ』の「ゴキブリ大量発生」シーンです
規制のせいで発光する謎の人物に
人気マンガの過激なシーンは衝撃を与えたり敵の恐ろしさを植え付けたりする重要な要素ですが、いきすぎた描写はアニメでは黒や白の光で隠されるなど、「規制」が入ることもあります。視聴者を思いやっての描写ではあるものの、なかには規制によって笑いを誘ってしまうような場面になったこともありました。
『名探偵コナン』
「週刊少年サンデー」(小学館)の看板作品である同題マンガ『名探偵コナン』(作:青山剛昌)のアニメ版では、記念すべき第1話から規制が入り、そのシュールな光景が一部視聴者の笑いを誘いました。
アニメの第1話では、「アポトキシン4869」を飲まされて幼児化する前の「工藤新一(江戸川コナン)」が遊園地での殺人事件を解決する姿が描かれました。規制が入った場面は殺害の瞬間のシーンで、ジェットコースターに乗っていた男「岸田」の首が飛ぶという描写です。
首から上がなくなり鮮血が飛ぶさまが、白い光で規制されました。それによって、首から謎の白い光が放たれているように見えてしまったのです。ネット上では当時の印象を振り返って「首からビームが出ているみたい」「謎の光が首から発光しているみたいで笑った」といった声があがっていました。
なお、このエピソードは2016年に「金曜ロードSHOW!」(現:金曜ロードショー)でリメイク版が放送され、このときには規制されず、血が吹き出す生々しい姿が描かれています。
『テラフォーマーズ』
規制が多い作品といえば、「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中の『テラフォーマーズ』(作:貴家悠/作画:橘賢一)のアニメは外せません。本作は規制の多さや不自然な黒塗りの規制から、「放送事故」というファンまで出てしまいました。
本作の舞台となる近未来では、人口増加にともないさまざまな問題が発生し、地球がパンクしかける危機にさらされてしまいます。人類は危機から逃れるため、火星にゴキブリを放って人が住める環境に変えようとしますが、ゴキブリは人型へ進化し「テラフォーマー」と呼ばれる、強敵になってしまいました。そして、彼らを駆除するために「アネックス1号」の乗組員らが特殊な「バグズ手術」で昆虫の能力を得て火星へ向かい、過酷な戦いを繰り広げるのです。
テラフォーマーは人間がゴキブリを嫌悪するように、容赦なく人間を襲います。原作ではテラフォーマーが相手の首を千切るなど、おぞましいシーンが多々ありました。しかし、アニメではほとんどが隠されており、第3話で人間が首をもがれる場面では、切断面や生首が黒い丸で塗りつぶされています。
このあからさまな隠し方は、「ネタにしか見えない」「完全に放送事故でしょ」と話題になり、黒い丸をバスケットボールなどに置き換えたコラ画像まで誕生しました。今でも、規制が多い作品といえば本作を思い浮かべる人も多いようです。
『BLOOD-C』
グロテスクな描写が多いことで有名な『BLOOD-C』では、多くのシーンが規制された結果、視聴者から「よく分からない」という声も出ました。
本作は、アニメ制作会社「Production I.G」と創作集団「CLAMP」が手がけるオリジナルアニメです。主人公の「更衣小夜(きさらぎ さや)」が、「私立三荊学園」で友人に囲まれて平和に暮らしながら、人間を食らう謎の怪物「古きもの」を討伐する務めを果たす姿が描かれます。
古きものは人間を襲うため、作中では血が飛び交ったり体を裂かれたりする容赦ないスプラッター描写が描かれていました。特に最終話に登場する「八頭身ウサギ」は、捕獲した人間をミキサーのように一気に粉砕して殺害します。
DVDではこれらの過激な描写ははっきりと描かれ、肉体の切断面や飛び散る臓器まで描かれていました。しかし、放送時にはほとんどが規制されてしまい、黒色や白色の光、ぼかしが入るなど直接的な描写は隠されています。
規制シーンの数や露骨な隠し方に視聴者からは、「規制が多くて意味が分からなくなってきた」「グロ描写のカットが不自然で笑ってもうた」と、「面白シーン」のように感じた人の声も出ていました。