『巨人の星』や『あしたのジョー』などで知られる梶原一騎原作マンガは、TVアニメ化や実写映画化された作品が多く、幅広い世代に愛され続けています。その一方、衝撃的なエンディングだった作品が少なくありません。TVアニメと原作マンガで、異なる結末を迎えた『タイガーマスク』のふたつの最終回を検証します。
1969年放送のTVアニメ『タイガーマスク』DVDコレクション vol.1(東映)
【画像】やっぱりカッコいい! これが続編に登場する「伝説の名を継ぐタイガーマスク」です(7枚)
恵まれない子供たちのために闘う覆面レスラー
「虎だ! お前は虎になるのだ!」
そんなハードボイルド調のナレーションで始まったのが、TVアニメ『タイガーマスク』の主題歌「行け!タイガーマスク」でした。主人公の伊達直人の少年期を描いたエンディング曲「みなし児のバラード」とともに、鮮明に覚えているファンは多いのではないでしょうか。
TVアニメ『タイガーマスク』は、1969年~1971年に日本テレビ系で、全105話が放映されました。児童養護施設「ちびっこハウス」出身の伊達直人が、覆面レスラー「タイガーマスク」として活躍し、ファイトマネーは恵まれない子供たちのために使うという物語です。
おりしも、新日本プロレスの真夏の祭典「G1 CLIMAX 34」の最終戦が2024年8月18日に行われ、You Tube番組『NJPWWORLD NOW!』などでハイライトシーンが配信されています。プロレスファンが熱くなるこの時期、『タイガーマスク』のふたつの最終回を振り返ります。
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タイガーの窮地を救った、謎の覆面レスラー
プロレスの世界を舞台にした『タイガーマスク』には、伊達直人ことタイガーマスクが、次々とユニークな覆面レスラーたちと対戦する面白さがありました。なかでも有名なのが、シリーズ前半の山場となった「覆面ワールドリーグ戦」です。裏切り者のタイガーマスクをリング上で処刑するため、悪役レスラー養成期間「虎の穴」は選りすぐりの刺客を大挙出場させました。反則OKで、レフリーは「虎の穴」極東地区マネージャーであるミスターXが務めるという恐ろしいリーグ戦です。
怪力自慢の「ザ・ライオンマン」、怪しい粉薬を包帯に仕込んだ「エジプト・ミイラ」、目がつぶれるほどの強い光を放つ「ゴールデンマスク」、覆面内に重そうな鉄球を隠した「ミスターNO」など、強烈なビジュアルの怪奇派レスラーたちが、タイガーマスクに襲い掛かります。ちなみに各レスラーのアイデアは、マンガ原作者の梶原一騎氏ではなく、作画担当の辻なおき氏が考えたそうです。
そんな「虎の穴」の個性派レスラーたちを上回るインパクトを放ったのが、謎の覆面レスラー「グレート・ゼブラ」でした。タイガーマスクのピンチを見かねて、タッグパートナーに名乗り出た長身のレスラーです。
それまで孤独に闘ってきたタイガーマスクにとって、最強の助っ人レスラーとなったグレート・ゼブラの正体は、ジャイアント馬場さんでした。体型を見れば、一目瞭然でしょう。しかし、タイガーマスク以外、誰もその正体を見破ることはできなかったのです。ミスターXの眼は、かなりの節穴です。
原作マンガ『タイガーマスク』第1巻(講談社)