女子プロを襲った“まさかの悲劇”!キャディバッグが届かない…一体なぜ?

世界的な飛行機の運行に影響を及ぼした7月のシステム障害は、移動の多いゴルフ界にも少なからず影響を及ぼした。

アニー・パークのバッグはどこへ?

男子ではちょうど全英オープンが終わろうとする頃、女子はオハイオ州でダナオープンを開催していた。同大会に出場していたツアー1勝のアニー・パークは、大会終了後、翌週のCPKC女子オープン出場のためにデトロイト空港からカルガリー空港行きのデルタ航空の直行便に搭乗を予定していた。

ところが、ここで航空会社を直撃したシステム障害が発生。急遽、航空会社の変更を余儀なくされたが、幸い、同じ直行便を運行しているウェストジェット航空に変更された。

無事に次の町に移動ができそうだと安心していたところ、別の場所で問題が発生していた。

すでに預入荷物として預けていたゴルフバッグが、カナダのカルガリーとは全く異なる方向のテキサス州ダラスに向かってしまっていたのだ。パークはゴルフバッグに位置情報がわかるエアタグをつけておいていたのだった。

本人は月曜に無事カルガリーに到着したものの、ゴルフバッグがない。そこで、すぐにダラスに住む友人に連絡を取り、ゴルフバッグをカルガリーへと転送してもらうようにお願いした。

ところが、航空網はシステム障害により混乱の真っ最中。しかも、デルタ航空はダラスからカルガリーへの直行便を運行していないため、直行便があるアメリカン航空の便に乗せることになった。だが、アメリカン航空もシステム障害の影響を被っていたから大変。

カルガリーで待つパークのもとに、ゴルフバッグは待てど暮らせど届かない。そのために練習もままならない。水曜午後になり、パークは大会開催コースからレンタルクラブを借りることにした。

パークのマイクラブは、アイアンがキャロウェイで、ウッドはタイトリスト。しかしあったのは三浦のアイアン。シャフトはちょっと硬めではあったが、なんとか打てる。ウッドは、ツアーにいるキャロウェイのレップがパークのために用意してくれた。

ちなみに、パークのパターはロングパターだが、レンタルクラブにあったのは中尺のみ。それで練習を開始した。

木曜日、パークのスタートは午前組。プレーの内容を聞いてみると、

「練習もできず、しかも自分のクラブではないので、打つだけで大変でした。パターもいつもの長尺でもなかったんですけど、スタートホールはバーディーが取れました(笑)」

おはようバーディーから始まったとはいえ、使っているクラブはフィッティングもなされていないレンタルクラブ。その後はボールがとこに飛んでいくのかわからないような状態でプレーし、スコアはボロボロ。金曜日にはクラブが届いたものの、時すでに遅く、会えなく予選落ちとなった。

ちなみに、翌週のポートランドクラシックで自らのクラブでプレーしたパークは、予選通過し30位タイでフィニッシュした。

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓 
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE