ニュースやSNSなどで情報を得られる現代。漫画家のツルリンゴスターさんは、スマホを見ると疲れを感じるようになっていました。そこでデジタルデトックスの一環として、新聞を取って日々の情報を得ることにしました。すると新たな発見があったようで……? 作者のツルリンゴスターさんにお話を聞きました。
スマホを見ると、SNSで時間が溶けて疲弊する……(ツルリンゴスターさん提供)
【マンガ本編】スマホ見ると元気なくなる…新聞を取ってみたら? そこまで必要ないと思っていたのに、生活が変わった!
そこまで必要だと思っていなかった「新聞」だったが…?
漫画家のツルリンゴスターさん(@turu96)は、デジタルデトックスを実践しています。なぜならニュースやSNSなどWebで何でも情報を得られる反面、スマホを見るとちょっと疲れると感じるようになったからだといいます。はじめは時間の使い方に戸惑いますが、徐々に慣れてきた様子です。さらに、インターネット頼みだった日々のニュースに関しては、新聞を取ってみることにします。すると新たな発見があったようで……?
ツルリンゴスターさんによるエッセイマンガ『新聞を取り始めた話』が、X(旧:Twitter)上で公開されました。読者からは「今はデジタル版しか使ってないけど、引っ越したら紙を取り直そうかな」「デジタルデトックス実践してみます」「網羅性という点では新聞いいよね。全体を俯瞰(ふかん)できるし思いがけず目に入った記事が良かったりするし」などの声があがっています。
ツルリンゴスターさんは漫画家、イラストレーターとして活動しています。子育て情報メディア「KIDSNA STYLE」で連載中の『彼女はNOの翼を持っている』(双葉社)が書籍化され、2024年8月28日に発売予定です。
作者のツルリンゴスターさんにお話を聞きました。
ーーとても興味深く拝読いたしました。今作『新聞を取り始めた話』を描いた理由や、作品に込めた思いなどを教えて下さい。
普段から育児エッセイを書いており、こどもだけのことに関わらず、母親である私自身についても日々のなかで心に留まったことをマンガにするようにしています。家族のなかでは「母親」という立ち位置ですが、その役割を持ちながらも、私個人として自分らしさを持って生活していることがわかるようなエッセイをお届けできたらと考えています。
そのなかで「新聞を取り始めた」という出来事について、取るきっかけや取って感じたことがあったので、それをそのまま描いてみました。日頃SNSにオフ時間の大半を費やしてしまったり、見ていて心が疲弊したりしていく思いをしている方に共感していただけるかもしれないな、ということと、新聞を取る人が少なくなっていると聞いていたので、面白く読んでもらえるかなとも思いました。
ーー今作を描くうえでこだわった点や、お気に入りのシーンやセリフなどを教えて下さい。
インターネットの情報は良くない、新聞は良い、と伝わらないように気をつけました。ただ、無料の情報をシャワーのように受け取ること、不快な広告を受け取ることには自分の心の疲弊、ストレスなどの対価がかかること、新聞やデジタル購読のように、お金をかけるとそれだけ精度の高い情報を得ることができるけど、それができる環境にいることは当たり前ではない、ということはちゃんと描こうと思いました。
なので「無料で受け取る情報は、自分を対価にしているのだと知る」「この料金でこの精度の情報に…(中略)それらが決して当たり前ではないのだと」は力を込めて書いたセリフです。
また、SNSやWeb記事、新聞などの媒体によって情報の正しい正しくないが決まるのではないし、得た情報を自分のなかで精査する能力があるかというところはまた別問題なのでそちらについては言及していません。
「嫌だ」という勇気をもらえる青春マンガ『彼女はNOの翼を持っている』第1巻 著:ツルリンゴスター(双葉社)
ーーその後、新聞を取り始めたことによる変化は何かありましたか?
個人的には新聞、とても面白いです。一番は世界で起こっている出来事が、それぞれ毎日継続して状況の変化を知ることができること。各地に派遣されている特派員さんたちの「この状況を伝えたい」という想いが伝わる文章で、「ちゃんと受け取らないと」という気持ちになります。
子供の頃は「新聞読みなさい」と言われても、字が多くて面倒くさいという気持ちが大きかったのですが、成長して大人になった分、記事の行間を読む力もついていて、自分の意見も発展させながら目を通すことができます。
子供たちは「お母ちゃん新聞にはまってんなー!」と、隙間時間に大きな灰色の紙を広げる私に言うようになりました。ときどきのぞき込んで写真を見て、「これは何?」と聞いてくるので、親子で時事の話題ができるきっかけにもなり、そんな変化に驚いています。
あとは新聞を毎朝毎夕取りに行くタイミングで家の前に水をまいたり、子供の靴が水遊びでぐずぐずになったときに新聞を詰めて乾かしたり、工作のときに下にひいたり、何かと重宝しています。