「審判は見て見ぬふり」「見えないところで蹴り」久保建英へ危険なプレー連発にソシエダ番記者が怒り!“クボ頼み”の戦術には嘆き「タケ対策でほぼ不可能なミッションに…」【現地発】

 生まれつきのセンスはサッカーにおいても重要な要素だ。プロの選手であっても、いくら繰り返し練習しても、プレーの精度と判断力を向上させるのは至難の業だ。この2つは移籍市場で最も高く評価されている能力でもある。

 レアル・ソシエダでその標本のような選手がシェラルド・ベッカーだ。今年1月、ソシエダは300万ユーロ以下の移籍金で獲得した。アタッカーにしては低い額だ。その理由はすぐに明らかになった。ボールコントロール、シュート、パスといった1つ1つのプレーにクオリティが不足しているのだ。

 時間とスペースを与えられれば与えられるほど、その弱点を露呈する傾向が強く、むしろ何も考えずにワンタッチでシュートを打ったほうが上手くいく可能性が高い。

 その点、タケ・クボ(久保建英)は、センスの塊のような選手だ。インスピレーションに満ちている時は、相手ディフェンスを切り裂き、チャンスを生み出す。サイドの突破口を担うためのあらゆるレパートリーを持っており、現在ソシエダで最もクオリティの高い選手だ。
【動画】久保が危険なファウルに激昂→逆ギレした相手にど突かれる
 しかし、ラ・リーガ開幕節のラージョ・バジェカーノ戦で我々が目の当たりにしたのは、昨シーズンと同じ光景だった。チームメイトはいつも攻撃が少しでも行き詰まると、タケにボールを渡す。相手DFは、競技規則で定められた範囲を超えた危険なファウルをしてでもその突破を止めようとし、審判はタケがリスクに晒されているのを承知で見て見ぬふりをする。

 逆サイドに真の脅威が現れない限り(アンデル・バレネチェアの復調が待たれる)、相手チームは完全にタケ対策を身につけてしまっている。おかげでプレーエリアはゴールから遠ざかり、右サイドで孤立する場面も少なくない。にもかかわらず、ボールを持てばほぼ不可能なミッションに挑み続けている。

  しかも、今回は相手が良くなかった。アルフォンソ・エスピーノは、ラ・リーガ開幕戦で対峙するに相応しいマーカーではない。ウルグアイ人らしい狡猾さを持ってレフェリーに気づかれないところで、立ち上がり挨拶代わりに2度蹴りを見舞い、縄張りを確保。タケが退くまで終始そんな調子だった。
 
 にもかかわらず、イエロカードなしで試合を終えたのだから始末におえない。そんな中でも、何度かいい形でドリブルで持ち上がる場面はあった。しかしパスを出すタイミングが受け手(ベッカー)と合わなかったり(25分)、フィニッシャー(またまたベッカー)がシュートの精度を欠いたり(54分)、相手の激しいタックルで倒されたり(57分)、得点に絡むまでには至らなかった。

 それでも68分に途中交代で退く際、観客席から惜しみない拍手が送られた。ファンはしっかりタケの勇気や積極性を評価し、感謝を示した。
 
 現状のタケは、精度も判断力も欠いている。しかし彼の場合は、それは時間が解決するはずだ。試合を重ねてエンジンがかかれば、そして周囲のサポート体制が整えば、再び違いを生み出す存在となってくれることを我々は信じて疑っていない。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

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