今夏にクリスタル・パレスに加入した鎌田大地が開幕戦でプレミアリーグデビューを果たした。
アウェーのブレントフォード戦でイングランド代表のエベレチ・エゼと並んで2シャドーの一角を担った鎌田は、序盤からシャープな動きで積極的に攻撃参加を試みた。
開始から7分、ファイナルサードでボールを受けた鎌田は直後に右へと展開。味方がエリア内のスペースをアタックするなか、鎌田本人はゆっくりとエリアすぐ外の周りに誰もいないスペースで待ち構える。しかしパスは出てこなかった。
直後にも、パリ五輪フランス代表のFWジャン=フィリップ・マテタとの連携から好機を作り出そうとしたがタイミングが合わず。15分には鎌田が後方からのパスを受けてマテタへ。左に開いて、ボールを受けたタイリク・ミッチェルがクロスを入れたがボックスに走りこんだ鎌田には届かなかった。
さらに20分には、敵のディフェンダーの弱いバックパスを見逃さず、スピードを上げて猛チャージ。ゴールキーパーのパスミスを誘発し、そのボールはエゼへの足もとへ。パレスの10番はボックス手前からシュートを試みたが、敵にファウルで潰され決定機とはならなかった。直後のエゼのフリーキックでエゼがグラウンダーで直接狙ったが、ポストわずか右に外れた。
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40分にも日本代表から好機が生まれた。中盤でボールを受けた鎌田はドリブルで前方へ、右足インサイドでマテタへスルーパス。少し長くなったボールに追いついたマテタは、飛び出してきたゴールキーパーと接触。倒されるもPKにはならなかった。
その後も積極的に味方との連携を図ったが、この試合では決定的な仕事をする機会は訪れず。疲れが見え始めた後半は消える時間も増えていき、70分に交代を告げられ、イングランドでの初戦を終えた。
1-2で敗れた試合後、取材エリアに出てきた鎌田はプレミアリーグについて、「以前からプレシーズンでもやったりとかしましたけど、どのチームも速い選手がいるなっていう風には思います。でもドイツでやっていた期間が長いので、ドイツとやっぱり似てるところはたくさんあるなっていう感じですかね」と率直な感想を述べた。
スペースを見つけることに長けている鎌田は、走り回るタイプの選手が多いクリスタル・パレスの攻撃陣にアクセントを与える存在となっていた。しかしながら連携面では課題が多く、改善点が目立った。
流れを読んでクレバーな動きをする背番号18は緩急の使い方が秀逸で、動と静を巧みに使いこなしていた。逆にマテタやエゼは積極的に動き回り、今後にコンビネーションが成熟していけば効果的な攻撃ができる可能性が垣間見えたものの、現時点ではパートナーシップはまだ発展途上なのが明白だった。
無論、鎌田本人もチームと自身のプレーがまだトップレベルに達していないと感じており、「彼らとはあんまり練習もできていないので。まだ1週間ぐらいしか練習もできていない」と明かし、次のように分析した。
「どちらかというと彼ら2人はコンビネーションというよりかは、個のクオリティでできちゃうタイプの選手。逆にもう少し、お互いがうまく使うところは使ったりだとかをできると、もっと攻撃としてはより幅も広がると思うし。ここらへんは時間がもう少しあれば、もっと良くなるのかなっていう感じですね」
それだけに開幕戦で意識したのも、やはりエゼやほかの攻撃的選手たちとの関係性だった。
「相手のラインが結構高いんで。相手の4バックに対して、うちは5バックでやってるんで。足元で受けるというよりは、できるだけ背後に抜け出したりだとか、そういうのは、エゼがあんまりそういうタイプの選手じゃないんで。その分(鎌田自身が)裏に抜け出してっていう感じは思ってたんですけど、自分自身いいタイミングで動き出しているところも何回かあったんで。やっぱりそこは、またチームの選手とはまだ話をして、ああいう相手に対しては、より『足元、足元』よりも背後でもう少しプレーできると、よりチャンスは作れたと思う」
「たぶん、今までのパレスの前線の選手たちがすごく能力が高くて、身体をこう預けてキープできるような選手が多分多かったんで。僕みたいな多分動き出しする選手もなかなかいなかったと思うんで、それはやっぱり試合数重ねることも大事だと思うし。プレシーズンも10番(シャドー)で…10番と6番(ボランチ)が半々で試合に出てたんで、試合数がそういう部分は解決していくかなという風に思います」
一方で、開幕戦を通じて、プレミアリーグの舞台で実力を発揮できる自信を再確認もできた。
「まだ1試合とプレシーズンしかやってないですけど、プレミアリーグは難しいというような感じは、今のところあんまりないです。もちろん能力が高い選手がいっぱいいますけど。チームとしてやっぱり良いポジションに立ったりだとか、いい動き出しをしていたら…。僕自身あんまりこうガチャガチャとプレスでディフェンスの選手たちを背負ってできるようなタイプでもないし。できるだけワンタッチとか、良いポジションにいて、良いところで受けてというようなことをやりたいんで。まだまだ良くはなるなっていう感覚はあるし。もっと良くなれるなっていう感じですかね」
フランクフルト時代はアタッカーとボランチをこなして、どちらのポジションでも得点に絡んだ。彼の決定力もあったおかげで、クラブはタイトルを取ることができたのも確かだ。だからイーグルス(クリスタル・パレスの愛称)のサポーターも必然的に、鎌田の決定力に期待していてもおかしくはないが、あくまで本人は“フォア・ザ・チーム”のプレーを最優先だと考えている。
「もちろん、多分ゴールだったりアシストだったり、そういう部分っていうのをすごく期待されてるとは思うんですけど、どこのポジションで出るかによっても違うと思うし。チームでこうやるべきことをしっかりやって、それプラスそういう部分がつけばいいなとは思いますけど。チームがとにかく1つでも上の順位でね、しっかり終われるように貢献できていけたらいいなと思う」
21歳の時に海を渡り、7年後にたどり着いたイングランド。これから円熟を迎える28歳が、プレミアリーグのオールドルーキーとしてどのようなプレーを披露してくれるのだろうか。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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