1980年代~90年代は、「週刊少年ジャンプ」が大人気を誇った時代です。海の向こうのハリウッドでは、ジェームズ・キャメロン監督が『ターミネーター』『エイリアン2』などのヒット作を次々と放っていました。なかでも「最高に面白い続編映画」と呼ばれる『ターミネーター2』と、主演俳優アーノルド・シュワルツェネッガーの人気ぶりを振り返ります。



今から33年前、1991年の8月下旬に公開され、大ブームを巻き起こした『ターミネーター2 』DVD(KADOKAWA)

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「少年ジャンプ」黄金世代には、たまらない展開

 最強の敵が、最高のパートナーになる。『キン肉マン』や『ドラゴンボール』などの人気マンガが連載された1980年代~90年代の「週刊少年ジャンプ」(集英社)を読んでいた世代にとっては、たまらなくワクワクする展開です。

 そんな「週刊少年ジャンプ」黄金時代の読者の嗜好性に、どハマりしたのがジェームズ・キャメロン監督の『T2』こと『ターミネーター2』(1991年)でした。前作『ターミネーター』(1984年)で冷血な殺人マシン「T-800」を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーが、7年ぶりとなる続編『T2』では、主人公側の味方となって再登場しました。「闇堕ち」ならぬ「光堕ち」キャラとなったのです。

 2024年8月23日(金)から9月5日(木)までの2週間限定で、『T2』は全国の映画館でリバイバル上映されることが決まっています。アクション俳優として大人気を博した、シュワルツェネッガーの代表作『T2』の面白さをクローズアップします。

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T-800を断っていたら、違った未来になった?

 前作『ターミネーター』が企画された段階では、のちに『エイリアン2』(1986年)を大ヒットさせるジェームズ・キャメロン監督は無名の存在でした。カナダ出身のキャメロン監督は、初監督作『殺人魚フライングキラー』(1981年)を途中降板させられるという苦い挫折を味わった直後でした。T-800に起用されたシュワルツェネッガーも、主演映画『コナン・ザ・グレート』(1982年)はあったものの、まだ売り出し中の身。元ボディビル世界王者としてのムキムキボディは目を見張りましたが、イロモノ系と思われがちでした。

 当初、シュワルツェネッガーは悪役を演じることに抵抗があり、ヒロインのサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)を守るカイル役を演じたがっていました。キャメロン監督は昼食会で初めて会ったシュワルツェネッガーの存在感と陽気な人柄に惚れ、改めて出演を要請。シュワルツェネッガーは初登場シーンを全裸で現れるなど迫真の演技を見せ、キャメロン監督の期待に応えました。

 もし、このとき、シュワルツェネッガーがT-800役を断っていたら、『ターミネーター』はそれほど話題にならなかったかもしれません。もともと続編の構想はなかったので、『T2』も制作されなかったでしょう。シュワルツェネッガーの鋼のような肉体と、作品の面白さを理解するクレバーさがあったからこそ、制作費640万ドルという低予算映画『ターミネーター』はサプライズヒットになったのです。

 オーストリア出身のシュワルツェネッガーはまだ英語が達者ではなく、その点でも無口なT-800に合っていました。『ターミネーター』は大好評を博し、劇中でT-800が口にする「アイル・ビー・バック」の言葉どおり、『T2』では正義のヒーローとして帰還することになったのです。



『ターミネーター2』で、宿敵となる「T-1000」の圧倒的強さとしぶとさに、当時多くの観客が戦慄した。画像は「ターミネーター2 7″アクションフィギュア T-1000」(NECA)