1980年代~90年代は、「週刊少年ジャンプ」が大人気を誇った時代です。海の向こうのハリウッドでは、ジェームズ・キャメロン監督が『ターミネーター』『エイリアン2』などのヒット作を次々と放っていました。なかでも「最高に面白い続編映画」と呼ばれる『ターミネーター2』と、主演俳優アーノルド・シュワルツェネッガーの人気ぶりを振り返ります。
淀川長治さんが「シュワちゃん」と命名
映画史に残る最強の悪役、T-800をクールに演じきったシュワルツェネッガーの快進撃が始まります。続く主演映画『コマンドー』(1985年)は、武装集団に誘拐された娘(アリッサ・ミラノ)の救出に向かう元特殊部隊の隊長役でした。本来ならシリアスな役どころですが、シュワルツェネッガーはマンガチックにド派手に大暴れします。
さらに『ゴリラ』(1986年)や『バトルランナー』(1987年)とアクション映画に次々と主演。SF映画『プレデター』(1987年)では、人間狩りを楽しむ凶悪宇宙人とのガチンコ対決に挑みました。日本では映画評論家の淀川長治さんが「シュワちゃん」と呼び、宮沢りえさんとCM共演するなど、「シュワちゃん」の人気は日本でも爆発します。
SF大作『トータル・リコール』(1990年)もヒットさせ、アクション大作には欠かせない存在となったシュワちゃんでした。悪役から人気者になった実人生をそのまま取り入れたような形で、『T2』の制作が始まりました。制作費1億200万ドルの超大作です。T-800が戦う新型ターミネーターの「T-1000」(ロバート・パトリック)には最新のCG技術が使われ、爆破シーンなどもスケールアップしています。
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ハリウッドが生んだアメリカンドリーム
予算が大幅にアップしただけではない面白さが、『T2』にはありました。前作から7年の間に、シュワちゃんは多くの作品に出演しました。『ターミネーター』では、SFホラー映画『ウエストワールド』(1973年)のユル・ブリンナーの演技を参考にしたそうですが、コメディ映画『ツインズ』(1988年)などにも主演し、演技の幅をぐ~んと広げていました。
今回のT-800は、サラ・コナーの息子であるジョン・コナー(エドワード・ファーロング)をT-1000から守り抜くというミッションを負います。物語前半は相変わらずぶっきらぼうなT-800ですが、家庭の温かさを知らずに育ったジョンと交流し、見よう見まねで笑うことを覚えます。旧型ロボットながら、孤独な少年のよきパートナーとなり、「父性」を感じさせる温かさも身につけていくのでした。T-800のことが愛おしく思えてくる、ハートウォーミングなロードムービーとなっています。
俳優としてのキャリアのピークを『T2』で迎えたシュワちゃんは、その抜群の知名度を活かして、2003年から2011年までカリフォルニア州知事を務めることになります。キャメロン監督は、『タイタニック』(1997年)や『アバター』(2009年)などの超大作をメガヒットさせました。
ヒット作の宿命で、その後も次々と続編が公開されている「ターミネーター」シリーズですが、『T2』が「最高に面白い!」というファンは多いと思います。『ターミネーター』から『T2』が製作された過程は、ハリウッドが生んだ、まさにアメリカンドリームだと言えるでしょう。
※映画『ターミネーター2』は、Filmarks(フィルマークス)の主催により、2024年8月23日(金)より全国のイオンシネマなど142館で2週間限定上映されます。