ガチョウの卵を人肌であたためて…発明王エジソンの「すさまじい知識欲」を証明する子ども時代の逸話

トーマス・エジソンといえば今でも語り継がれる発明王として知られているが、子どもの頃から、すさまじい知識欲の片鱗を見せていた。

明治大学教授の齋藤孝さんが子ども向けに歴史人物の意外な10代の話を楽しくまとめた『子どものころはしょぼかった⁉ すごい人の10歳図鑑』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。

電気による明かりを世界中で使えるようにした

トーマス・エジソン(1847〜1931) アメリカ生まれ、発明家・実業家。白熱電球や蓄音機、映写機をはじめ、生涯に発明したものの数は1300にも及ぶ

エジソンは偉大な発明家。白熱電球の発明が有名だよね。 電気による明かりを世界中で使えるようにしたというのがすごいところです。

明かりをつくるために、エジソンは世界中から素材を集めて実験を1万回以上もくり返したといわれます。光る時間が短ければ、実際に使えるものにはなりません。

あれもダメ、これもダメ……。でも、エジソンはあきらめません。 そしてついに、日本の竹を使ったフィラメントがうまくいくことを発見! 1200時間も光り続けたのです。

エジソンのおかげで、わたしたちは夜でも明るく過ごせるんだね。

エジソンみたいに発明が得意になるには、何が必要だと思う? 「ひらめき」とか「アイデア」が大事だと思う人が多いんじゃないかな。もちろん、そうだよね。

ただ、その前に忘れちゃいけないことがあります。「知識」です。 

知識がないと、いろいろなものを見てもピンとくることがないからです。

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試してみないと、何事もわからない!

たとえば、植物の知識がない人は、近くにめずらしい花が咲いていても何も思わないでしょう。植物にくわしい人なら「この時期にこの花が咲くのはめずらしいな」「この土地に咲くのはこういう気候だからかな」などと気づくことがあると思います。 

そして、それがひらめきのタネになったりするのです。

エジソンは子どものころから「知りたい」欲求が強かったんです。 

だから周りの大人に「なぜ?」「どうして?」とたくさん質問をしていました。 

そして、「こうなんじゃないか?」と考えたら、実際に確かめて知ろうとしていました。 

たとえば、ガチョウがたまごの上に乗っているのを見て、 

「あれは何をやっているの?」 

「たまごをあたためてヒナをかえそうとしているんだよ」 

と教えてもらうと、すぐに自分もたまごを抱いてうずくまり、ヒナをかえす実験をはじめました。家畜小屋の主人に大笑いされたんだって。

こんなこともありました。鳥を観察していたとき、 

「鳥が空を飛べるのはミミズを食べているからではないか」 

とひらめきます。そして、ミミズをすりつぶして水に混ぜた「ミミズドリンク」をつくって近所の女の子に飲ませちゃった! 女の子はすぐにはいたので異常はありませんでしたが、ひどく怒られることに。……とまあ、失敗はたくさんしているけど、そのぶんいろいろなことを知ることができたんだね(でも、ミミズドリンクは絶対にマネしないで!!)。

本を読むのも大好きで、15歳のころには図書館の本を全部読んだり、『ブリタニカ百科事典』を読んで全部覚えようとしたりもしました。自分の中にたくさんの知識を入れようとしていたんです。すさまじい知識欲!

・出典
『エジソン 20世紀を発明した男』ニール・ボールドウィン著 椿正晴訳 三田出版会
『齋藤孝の親子で読む偉人の話 1年生』齋藤孝著 ポプラ社
「トーマス・エジソンの白熱電球と日本の竹」(PUBLIC RELATIONS OFFICE GOVERNMENT OF JAPAN)

文/齋藤孝