さまざまな目の病気を改善する目薬。しかし、その保存方法や使い方を間違えると、期待する効果を得られないどころか、逆に目の病気を引き起こしたり、最悪、失明することも…。今までSNSで反響のあったポストを中心に、目薬の正しい使い方について眼科専門医が解説する。
夏は目薬が腐る? 冷蔵庫に入れるのがオススメ
目薬のほとんどは室温で保存する必要があります。適切に保存をしないと、目薬の成分が化学変化を起こしてしまい、期待する効果が得られない場合があるからです。
そこで、適切な管理が必要なのですが、室温を「部屋の中であれば大丈夫」と勘違いして、そのまま部屋に目薬を置きっぱなしにしている方が少なくありません。しかし、それでは適切な管理ができていない恐れがあります。
日本薬局方(厚生労働省から出されている医薬品の基準書)によって、室温保存は1~30℃と定められています。ところが、ここ最近の夏は30℃を超えない日はないくらい、暑い日が続いています。そのため、部屋の温度は30℃を超えている場合があります。逆に、冬の北海道などの地域は0℃を下回ることも多く、いずれの場合も室温保存に適さない温度になっています。
これら室温を空調で調整している場合は良いのですが、外出時など、空調の調整ができない場合は注意が必要です。そのまま目薬を室内に置いておくと、効果が弱まったり、逆に濃度が上がり、効果が強くなる恐れがあります。
そこで、おすすめしたい管理方法が、冷蔵庫で目薬を保管するという方法です。冷蔵庫のポケットなどは水も凍らない温度に保たれています。この場所は室温保存の基準に入っており、目薬の保管場所としては最適です。
ただし、冷蔵庫内には温度が低い場所があります。それは冷気口です。冷気口の近くに目薬を置くと、目薬が凍結する恐れがあるため、冷気口近くには目薬は置かないでください。もし凍ってしまった場合は、その目薬は使わないようにしましょう。
ほとんどの目薬はこのように冷蔵庫内の保存で良いのですが、目薬の中には冷蔵庫内の保存が適さないものがあります。例えば、トラニラストやリザベンといった目薬は、過度の低温(冷蔵庫の中)での保管は避けましょう。冷蔵庫などで保存すると結晶が析出することがあり、期待される効果が得られない場合があります。
このように、適切な管理方法は目薬によって異なります。添付文書を確認し、適切な温度で管理するようにしましょう。
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目薬がドバドバ出てしまう人必見!確実に一滴出す裏ワザ
目の中に一度に入る目薬の量は1滴でも十分であるため、1回の点眼でさす目薬の量は1回1滴で足ります。逆に、1回2滴以上使ってしまうと、副作用が強く出てしまう場合もあります。
例えば、緑内障の目薬の中には、β遮断薬という成分が含まれている目薬が存在します。目薬や涙は鼻涙管(目と鼻の通り道)を通って、鼻にある粘膜から吸収されて全身に回ります。
そのため、余分な目薬の成分はこの鼻涙管を通り、全身に回ってしまいます。β遮断薬は、喘息や心不全を悪化させる可能性があり、これらの疾患を持つ人は注意が必要です。また、目の表面を覆っている涙の構造を壊してしまい、ドライアイのため目薬を使っているにもかかわらず、逆に目の表面に傷がついてしまうことがあります。
しかし、ボトルの腹を押すと目薬が何滴も出てしまい、副作用が出てしまったり、想定よりも早く目薬がなくなってしまったりすることがあります。そこで、目薬を一滴だけ出す方法として、目薬のボトルの底を押す方法を動画で紹介します。
動画では2つの持ち方を紹介しています。
1つ目が、親指と中指でボトルの腹を持ち、人差し指で底を押す方法です。これはある程度の力が必要になりますが、自分に使う場合にはこの持ち方が良いでしょう。
2つ目に紹介している持ち方は、自分以外の人や動物に目薬を使う場合の持ち方です。これは底を親指で押しているので、さす人の負担を減らす目的で紹介しています。
ただし、この持ち方はすべての目薬で使えるわけではありません。病院で処方される目薬のほとんどはこの持ち方で問題なく使えますが、中にはこの持ち方ではうまく目薬をさせない場合があります。その際には、目薬のボトルの腹の部分を優しくつまむ、通常の持ち方をする必要があります。