駅の待合室で、知らないおじいさんに話しかけられた城之内さん。そのおじいさんは、かつて戦争に行っていたといいます。突然のことに戸惑いながら耳を傾けると、おじさんが経験した戦場のジャングルでのエピソードが壮絶で……? 作者の城之内さんにお話を聞きました。



駅の待合室で居合わせた老人が語る体験談とは?(城之内さん提供)

【マンガ本編】「僕ね、戦争行ってたの」知らないおじさんに突然話しかけられた女子高生 聞かされた、壮絶な経験エピソードとは?

語り継がれる戦争の記憶に「風化させてはいけない」

 高校生の頃、漫画家の城之内さん(@m_jonouchi)は駅の待合室で戦争経験を持つ知らないおじいさんに話しかけられました。おじいさんは戦地のジャングルで爆弾が落ちてきた話を聞かせてくれ、さらにそのときに負った傷を見せてくれました。その後もおじさんが語ったエピソードが壮絶なもので……?

 城之内さんによるエッセイマンガ『知らないおじいさんに突然話しかけられた話』が(旧:Twitter)上で公開されました。いいね数は12万を超えており、読者からは「戦争経験者の方も少なくなり、こうやって戦争のリアルさを伝えていくことの大切さを感じました」「すごく貴重なお話、鳥肌立った」「戦争について改めて考えるきっかけを与えてくれたことに感謝します」などの声があがっています。

 作者の城之内さんにお話を聞きました。

ーー今作『知らないおじいさんに突然話しかけられた話』を描いた理由や、きっかけを教えて下さい。

 私は趣味でイラストを描きますが、マンガとなるとなかなか勝手が違い、物語を読者へ伝わりやすくまとめることが苦手でした。長い時間を置いて、ようやくおじいさんから聞いたお話を短いマンガにできるくらいまとまったと思ったので、終戦の日が近いことをきっかけに描きました。



老人が体験した「死」と隣り合わせの戦場(城之内さん提供)

ーー今作を描くうえで工夫した点や、作品を通して伝えたかったことを教えて下さい。

 このマンガを読んで、特に爆弾が落ちてきたシーンにぞっとしてもらえるように描きました。何より私がおじいさんからお話を聞いたとき、一番ぞっとした出来事だったからです。

 また、普段の絵柄よりも、あえてかわいらしくてゆるい絵柄で描きました。戦争の内容を取り扱っているため、読者がつらくならないよう自分なりに配慮しました。

 今回この作品で、本当に戦争を体験した人がいたんだよ、ということを知っていただければ十分だと思っています。戦地に送られて、銃を持って、人と戦って、爆弾を落とされて、死にかけた人がいたんだよ、ということ知っていただければ。

ーーこの話を聞く前と聞いた後、そして話を聞いた当時と現在で、戦争に対する考え方はそれぞれ変わりましたか? 変化したのであれば、どのように変わったか教えて下さい。

 お話を聞いた当時も、戦争は恐ろしいものだ、ということは変わらなかったです。また、自分の立ち位置からほど遠い出来事であることも変わりません。ですが年齢を重ねれば、当時よりも自分ごとのようにとらえるようになったと思います。

 漠然と恐ろしいと感じるだけでなく、もしことが起これば自分の身に降りかかるであろう状況も想像できるようになりました。ですので、戦争は恐ろしいもので、決して起こってはいけないものなのだ、とより深く考えることができるようになったと思います。