『ONE PIECE(ワンピース)』の世界で海軍大将といえば、海軍の最高戦力であり、世間的には治安維持のために力を発揮する偉大な存在として知られています。しかし、初期の三大将は現在、それぞれが辛い状況にあるようです。



3人がそろう姿も今やなつかしい? 画像は『ONE PIECE 14thシーズン マリンフォード編 piece.5』(エイベックス・ピクチャーズ) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

【画像】もう止めてあげて! こちらはサカズキ元帥を悩ませる問題児です(5枚)

前線で暴れたほうが輝けていた?

 マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』に登場する「海軍大将」といえば、主人公「モンキー・D・ルフィ」をはじめ海賊たちの強敵であり、民間人にとってヒーローのような存在です。初期に登場した海軍三大将の「赤犬(サカズキ)」、「青キジ(クザン)」、「黄猿(ボルサリーノ)」も、圧倒的な戦闘力や存在感が印象的でしたが、最終章に入った現在はそれぞれがつらい状況に直面している様子が描かれています。

※この記事には、単行本109巻以降の『ONE PIECE』最新1124話「親友」の内容を含みます。ネタバレにご注意ください。

 海軍トップの「元帥」になってから、苦労が絶えない姿に同情の声が集まっているのがサカズキです。彼が大将だった時代は「徹底した正義」をかかげ、海賊だけでなく、戦地から逃げ出そうとする部下も手にかけるほど過激な存在でした。しかし、元帥になってからは、「五老星」からの圧力や、部下の勝手な行動に振り回される様子が目立ちます。

 例えば部下である、現海軍大将「藤虎(イッショウ)」が「ドレスローザ」で王家や国民に土下座しました。これは海軍の落ち度を詫びるという前代未聞の行動であり、事前報告もなく新聞でその事実を知ったサカズキはかなりストレスをためたことでしょう。実際にサカズキはこのことに激怒し、イッショウと激しい口論になりました。

 さらに政府の諜報機関「CP-0」の行動にも頭を悩ませているようです。エッグヘッドで「麦わらの一味」を発見したCP-0は、サカズキへ連絡することなく独断で行動します。

 海軍トップになったとはいえ、思うようにコントロールできない部下たちと、上からの重圧という板挟み状態のサカズキに「前線で暴れまわってたほうがマシだったよな」「今の狂った情勢も運が悪い」など、同情する声も聞かれます。

 サカズキと元帥の座を賭けて戦い、敗れたクザンは海軍を去ったあと「黒ひげ海賊団」に加入しました。海軍と対立する立場となったクザンは、1087話で、ついに自らの師匠でもある中将「モンキー・D・ガープ」を氷漬けにします。ガープへとどめを刺したクザンは悲しそうで思い悩むような表情にも見えました。

 ちなみに、クザンがかつて氷漬けにした元海兵「ハグワール・D・サウロ」が、実は生存していた、ということから、ガープも死んでいない、と予想するファンも少なくありません。

 クザンは、利害の一致から黒ひげたちと行動をともにしています。その目的は明らかとなっていませんが、どうか「彼らしい」理由であることを祈るばかりです。

 唯一、現在も変わらず大将であるボルサリーノは、初期の登場時に麦わらの一味に圧倒的な戦力差を見せつけた強敵です。ボルサリーノの悲劇は、長い付き合いで親友とも呼べる政府の科学者「Dr.ベガパンク」の暗殺を課せらえれます。

 最新1124話で、海軍の大惨事に「甘ェ仕事しとりゃせんじゃろうのう」と責められた際、「親友を殺した事あんのかい」と、珍しくボルサリーノが感情的に反論しました。涙を流しながら「疑うヒマァあんならよ!!」「てめェの目で見に来いやクソガキ!!!」という悲痛な叫びに、それまでうろたえることのなかったサカズキも謝るほどの剣幕です。

 周囲に翻弄されるサカズキ、海賊に身を落としたクザン、自らの手で親友を殺めたボルサリーノと、それぞれつらい立場の彼らは、今後、どのような道を歩むのでしょうか。