「通知が来たら即撮影」2分以内の制約が課せられるSNSにハマる若者が急増…授業中もバイト中も撮影してしまうスマホ中毒の呪縛

「授業中もよく撮っています」1日でも撮り忘れると悔しさを感じる

続いて話を聞いたのは現在高校2年生のミナミさん(仮名・17)。ミナミさんも昨年の4月に使い始めてから毎日投稿しているそうだ。そんな彼女が、アプリが自身の生活の一部になっていると感じた瞬間について語ってくれた。

「毎日の口癖が『通知まだかな』になっていることですね(笑)。友達と通知が来たときに盛り上がるのが楽しいんです。授業中もよく撮っていますよ。とりあえず通知が来たら『撮らなきゃ!』ってなっちゃいます」

なぜミナミさんは授業中も撮るほど、魅了されているのだろうか。

「BeRealは自分の過去の投稿をカレンダーの形式で振り返ることができるので、私は思い出日記みたいな感覚で使っています。だから1日でも撮り忘れるとその日の思い出が残らないので悔しいんです」

相当ハマっている様子のミナミさんだが、毎日投稿することに疲弊したり、無加工の写真を撮ることに嫌気が差したりすることはないのだろうか。

「面倒くさいと思ったことは全然ありませんね。むしろ楽しいとしか思いませんし、私は無加工の写真のほうが『盛れるな』って思います。最近は加工するより、シンプルで飾っていない写真の方が魅力的なんじゃないかと感じています」

ミナミさんもハルさん同様、親しい仲間と一緒に盛り上がることが楽しいと感じているようだが、「1日でも撮り忘れると悔しい」と語るように、「日々の思い出を記録する」ということが、ある種の強迫観念のようになっているのではないかという印象を受けた。

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自己承認欲求が強い人ほど盛んに投稿

最後に話を聞いたのは現在大学4年生のユキさん(仮名・22)だ。ユキさんは1年ほど前からBeRealを始め、投稿頻度は月によってまちまちだというが、まずはユキさんが使い始めたきっかけについて聞いてみた。

「周りの友達がやっているからという理由で、最初は軽いノリでアプリをダウンロードしました。それから私がフォローしている海外のインスタグラマーがBerealの投稿をインスタグラムのストーリーに載せ始めたのを『おしゃれだな』と思ったことで、自分も撮り始めるようになりましたね」

ではユキさんは主にどんなときに投稿するのだろう。

「学校で友だちと会っているときや、バイト先が一緒で仲のいい子とシフトが被ったときに撮ることが多いですね。逆に一人でいるときはあまり撮りません。どうしても仲のいい子の近況が知りたい場合は、内カメラを真っ暗にして顔を載せずに投稿することもあります。ちなみに、こうやって自分の顔を載せずに“見る専門”でBeRealを使っている子も結構いますよ」

また、ユキさんによると投稿頻度が高い人は、他のSNSも頻繁に投稿する傾向があるという。

「インスタグラムのストーリーを頻繁に更新したり、投稿を頑張っていたりする子は、毎日のようにアップしている印象です。そういう子は他の人の投稿にリアクションすることが少なく、自己満足で投稿している気がしますね。あとBeRealは何回撮影し直したか他の人にもわかる仕組みなんですが、私のフォローしている人のなかには17回も撮り直している子がいましたね…」

昨今のSNSの写真の潮流に反して、無加工が魅力的だと感じているミナミさんの話があったが、なかには自分が納得いくまで“盛れる”写真を撮り続ける人もいるみたいだ。

さらにユキさんの周囲には、まさに“BeReal中毒”になっている人もいるそう。

「通知が来て2分以内に撮ると、追加で2回投稿できる機能があるんです。毎日3回投稿することがチャレンジの一種みたいな感じになっていて、1日でも3回投稿を逃すと悔しいと思う人もいるみたいです」

さまざまな機能が「スマホ依存」を引き起こすような原因となっていることがユキさんの話からわかる。またユキさんは、このアプリのヘビーユーザーに対して疑問を感じることもあるそうだ。

「たまに満員電車の中とかで、BeRealを撮っている人たちを見かけるんです。“カシャッ”と大きな音がするので気になるし、いくら親しい人同士でしか投稿を共有しないからといっても、他人が映り込んだ写真を撮るのってどうなんだろうって感じます。もし自分が写っていたら怖いし、正直そういう人たちは使い方をわきまえてほしいなって思います」

――次世代型インスタグラムのようなSNSにハマる若者たちは総じて「通知」という“呪縛”にとらわれているようだった。また気軽に繋がることができるインスタグラムなどのSNSとは違い、親しい友人同士で“内輪ノリ”を楽しむような側面がある。BeRealは若者たちにSNSの新たなおもしろみを与えた一方、スマホへの深刻な依存も引き起こしていることは間違いないだろう。

取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio