マンガのキャラクターには性格、家族構成、身長などいろいろな設定が存在し、服装もそのひとつです。奇抜な衣装の多いバトルマンガと比較すれば、日常を描いた作品では、キャラの服装はそれほど印象に残りません。その一方で、ダサいTシャツを着こなし、強烈な印象を残すキャラが存在します。
縁の下の力持ちとして印象に残る「木暮公延」がパッケージのアニメ『SLAM DUNK』DVD14巻(東映)
【画像】え…っ? やっぱ「ダサい私服」のレジェンドといえば? こちらが「恥ずかしすぎるシャツ」を着ているベジータです(3枚)
真面目なキャラの意外な自己主張
マンガのキャラクターの「服装」は、キャラ設定の要素のひとつです。日常を描いた作品ではシンプルな普段着のキャラも多いですが、一方で思わず二度見してしまうほどの印象を残す「ダサいTシャツ」を着ているキャラもいました。
※本記事はアニメ『SLAM DUNK』『【推しの子】』『カモのネギには毒がある』のネタバレが含まれます。
『SLAM DUNK』の「木暮公延」
主人公の「桜木花道」をはじめ、個性の強いキャラがひしめき合う大人気マンガ『SLAM DUNK』(作:井上雄彦)で、縁の下の力持ちとなっている存在が、湘北高校バスケ部の副キャプテン「木暮公延」です。キャプテン「赤木剛憲」の親友であり、花道のよき理解者としてストーリーの要所で活躍する人気キャラですが、シリアスなシーンで目を引くのが彼の独特なセンスのTシャツです。
花道に「玉入れ遊び」と言われて激怒した赤木が、花道とバスケで対決するシーンでは、木暮は片目をつぶった「オバケのQ太郎」風のTシャツを着ています。そのお茶目なTシャツと、ふたりの対決を心配しながら見守っている真面目な様子とのギャップに、笑ってしまった読者もいるかもしれません。
また、問題児「宮城リョータ」の素行を心配する部員と会話するシーンでは、かわいい猫のTシャツで「聞いたよ」と、冷静に対応しています。さらに有名な場面としては、暴力沙汰を起こす「三井寿」に対して「夢見させるようなことを言うな!!」と怒鳴った際のTシャツは、つぶらな瞳のうさぎです。
その後、三井が「バスケがしたいです…」と泣き崩れるシリアスな場面が訪れるため、「場を和ませるための、あえてのチョイス?」と深読みした読者もいるのではないでしょうか。ちなみにアニメの場合、このうさぎTシャツは無地のTシャツになっています。
普段は控えめな小暮の意外な趣味はたびたび話題になり、ネット上では「山王戦あたりのアンメルツが書かれたTシャツ笑った」「クラスメイトになってヤバいTシャツあげたい」「あのクールメガネイケメンのダサTかわいすぎる」といった声もあがっていました。
個性的な衣装も着こなせる顔面偏差値の高いアクア。『【推しの子】』第2期メインビジュアル (C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
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クールイケメンキャラが選んだダサいTシャツって?
『【推しの子】』の「星野アクア」
アニメ第2期も放送中のマンガ『【推しの子】』(原作:赤坂アカ/作画:横槍メンゴ)の主人公「星野愛久愛海(愛称:アクア)」は、美男美女がひしめく芸能界のなかでも注目を集めるイケメンですが、残念ながらTシャツのセンスは微妙です。
読者にとって最も印象的なTシャツは、番組の打ち上げに参加したときのTシャツ「BIBINMEN」でしょう。一見すると、アルファベット表記なので、そこまでダサくは感じられませんが、よく見ると韓国料理の「ビビン麺」だと分かります。おしゃれな芸能人の集まる場で「BIBINMEN」Tシャツを着るアクアのいさぎよさが、逆にかっこよく見えてしまうのも不思議です。
また、覆面YouTuber「ぴえヨン」の正体がアクアだと「有馬かな」にばれてしまうシーンでは、「Daisuki」と書かれたシャツで登場しています。ふたりは恋愛関係に発展する可能性を含んだ微妙な関係性であるため、「大好き」に込められたアクアの意図が気になる読者もいたのではないでしょうか。
さらに「B小町」のメンバー「MEMちょ」が年齢詐称を告白するシーンでは、魚のイラストともに、自分の名前と同じ「AQUA」と書かれたTシャツを着ています。アニメではデザインはそのままで、爽やかな水色のTシャツになっているため、一見しただけでは、ごく普通のおしゃな服に見えます。マンガではダサく見えるTシャツも、アニメのカラー版で見ると印象が変わることがあるため、両方を見比べると面白いかもしれせん。
『カモのネギには毒がある』の「加茂洋平」
マンガ『カモのネギには毒がある』(作:甲斐谷忍/原案:夏原武)に登場する、ペテン師からカモられる人びとを救う天才経済学者「加茂洋平」はTシャツのセンスも天才的です。第1話で「いい国作ろうキャバクラ幕府」Tシャツで登場し、読者に強烈な印象を与えた加茂は、その後も「おな中」「おにゃんこぽん」と、およそ大学教授と思えないTシャツで現れます。
本能のままに好きなTシャツを着ているだけかと思いきや、「おな中」Tシャツには小さく「Same Junior High School」と書いてあり、訳すと「同じ中学校」の文字があるため、暗に「同じ中学校の略だから怪しい言葉じゃないよ」というメッセージとも取ることができ、加茂なりの気遣いを感じさせました。
また、大勢がいる場で「おにゃんこぽん」Tシャツを着用した際に、上にジャケットを羽織ったことも、TPOに配慮した加茂らしい着こなしといえるでしょう。
さらに搾取の仕組みを真面目に解説する場面では、Tシャツの胸元に大きく「エロ幕府」と書かれていました。セリフよりもTシャツの文字が気になってしまうのが、加茂ならではの魅力とも言えるかもしれません。