多種多様な「ガンダム」タイプMS、果たして最強はどれなのでしょうか。主観にすぎるため論じるのは難しい部分があるなか、それでも「最強にふさわしい」性能や装備を備える機体を見ていきましょう。



現実でフォトン・トルピードが実用化されたら、危険極まりない「HG 1/144 ガンダム G-セルフ (パーフェクトパック装備型)」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

【画像】「えっ、そんな遠くから!?」 こちらが劇中でも「最強のガンダム」扱いされた機体です(4枚)

すべてを無に帰す驚異的な兵器

「ガンダム」シリーズには、多種多様な「ガンダム」タイプの機体が登場します。そのため、どのガンダムが最強なのか、誰もが一度は考えたことがあるでしょう。

 しかし、作品ごとに設定が異なり、個人的な思い入れも大きく影響するため、一概に最強を決めるのは難しいものです。それでも、誰もが納得するような圧倒的な性能を持つ「最強クラス」のガンダムは確かに存在します。

 そのなかでも、『∀(ターンエー)ガンダム』に登場する「∀ガンダム」や「ターンX」に搭載されている「月光蝶」は、無慈悲なまでに強力だといえるでしょう。月光蝶は、機体からナノマシンを散布し、これに触れた「あらゆる人工物」をすべて砂にするという、極めて強力な兵器です。

 この兵器が散布するナノマシンが虹色に輝き、蝶の羽のように見えることから「月光蝶」と名付けられました。過去に栄えていた文明を「黒歴史」として葬り去った実績を持つことからも、歴代ガンダムのなかでもトップクラスの強さを誇る機体であることは間違いありません。

『ガンダム Gのレコンギスタ』にも、月光蝶に似た粒子の羽を広げる「G-ルシファー」という機体が登場するものの、その威力や効果が描かれることはありませんでした。そのため、∀ガンダムやターンXの月光蝶と同じ兵器であるかどうか、定かではありません。

 また同作には、月光蝶とは別の、似た特性を持つ兵器が登場します。それが主人公「ベルリ・ゼナム」の愛機「G-セルフ(パーフェクトパック装備型)」が持つ「フォトン・トルピード」です。この兵器は、触れたものを対消滅させてしまう反物質結晶体を撒き、その消滅した部分をエネルギーとして回収し再利用するという、恐ろしい性能を持っています。

 メカデザインの安田朗氏は自身のX(旧:Twitter)で、月光蝶が「地球上の全ての物質を砂にするのは出来る」ほどの威力を持つと推測したうえで、フォトン・トルピードは「東京の人を丸焼けにするぐらい」の効果だと触れています。それでも並外れた性能を持ち、作中ではベルリが制限していても驚くほどの威力を発揮し、それ以降は使用を控えていました。さらに劇場版ではフルパワーで使用した結果、敵部隊の一団を消滅させ、ベルリ自身も「パーフェクトパック」を切り離してしまうほどの衝撃を周囲に与えました。



サイコフレームの力で、もはや何でもあり?「メガサイズモデル 1/48 ユニコーンガンダム(デストロイモード)」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

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超常現象のような能力を持つ最強ガンダムも……

 せん滅能力でいえば『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の終盤に、最後の敵「ブラックナイトスコードカルラ」との戦いで使用された、主人公「キラ・ヤマト」の機体「マイティストライクフリーダムガンダム」の持つ「ディスラプター」も相当な威力を持っています。

 ディスラプターは、同機の額に秘匿された強力なレーザー兵器で、照射を受けた物質は原子崩壊を引き起こし、発生する核分裂反応も抑制するというとんでもない性能を持っています。作中では、ディスラプターが小型戦艦ほどの大きさを持つ相手の誘導兵器を、隠れていた巨大要塞の残骸ごと両断するシーンが描かれ、その威力が存分に発揮されていました。

 この兵器は非常に強力で、通常なら使用には承認手続きが必要です。作中では承認者である「ラクス・クライン」も同乗していたため、即時承認という異例の措置が取られていました。

 キラはブラックナイトスコードカルラを相手に直前まで苦戦を強いられていましたが、マイティストライクフリーダムガンダムに換装後は一転して相手を圧倒し返しており、機体の強さを実感させます。

 兵器という枠にとどまらない強さでは『機動戦士ガンダムUC』の「ユニコーンガンダム」が持つ「サイコフレーム」も負けていません。

 そもそも「サイコフレーム」とは、パイロットだけではなく、周囲の人や敵の精神を感応波として受信し、フィードバックしてパイロットの反応速度を向上させる特殊な部材です。その機能は、ときおり未知な現象を引き起こし、『逆襲のシャア』の終盤では「アムロ・レイ」が乗る「νガンダム」が、地球上へ落下しようとする宇宙要塞「アクシズ」を押し返すなかで、全人類に「人の心の光を見せる現象」も引き起こしました。

 このような驚異的な力を持つサイコフレームが全身に組み込まれたユニコーンガンダムは、ときにオカルトめいた力を発揮します。その具体例が、宇宙船「メガラニカ」に向けて発射されたコロニーレーザーを、2号機「バンシィ」とともに弾き飛ばした出来事です。レーザーを防ぐ際の衝撃で、ユニコーンガンダムは緑色の結晶体が露出する姿になり、時間を巻き戻すように損傷を回復するシーンが描かれました。

 さらに、『機動戦士ガンダムNT』に登場する3号機「フェネクス」は、人間が操作していないにもかかわらず、常識では考えられない反応速度で自律稼働する姿が描かれ、その性能の不思議さをさらに強調しています。

 どの最強クラスのガンダムも、驚異的な性能を秘めており、その力の使いかた次第では世界を変えることすらできそうです。「ガンダム」シリーズはフィクションですが、どんな便利な道具も使い手の心がけ次第で善にも悪にもなるという点では、現実社会にも通じる教訓があるかもしれません。