大谷翔平の二刀流、青学陸上部の駅伝はバブル世代が育てた!? いまでも貯蓄より消費が正義…日本が世界一金持ちだった時代を生きてきたバブル世代のトリセツ

日本に推計2222万人以上いるとされる、「健康」で、「お金に余裕」があり、「人間関係も良好」な高齢者たち。パソコンやスマートフォンも使いこなす彼らに愛された企業が、この先大成功を収めることは間違いない。

あと10年以内に退職し、退職金もバッチリもらえるであろうバブル世代のトリセツを、『「シニア」でくくるな! “壁”は年齢ではなくデジタル』より一部抜粋・再構成して解説する。

バブル世代54歳~58歳(2024年時点)誕生年1966~1970(昭和41年~昭和45年)

【時代背景・特徴】
10代から20代にかけてバブル時代の全盛期を生き、同時期に就職したのがこの世代だ。格差が少なく、国民全員が「自分は中流」という意識が強かったため、〝一億総中流〞と言われた。就職活動は超売り手市場で、苦労せずとも正社員になれた。

貯蓄より消費を重視する世代で、今も年代別貯蓄額を見るとバブル世代は低い傾向で、いまだに消費意欲旺盛な世代であることがうかがえる。

最も注目すべきなのが、バブル世代が持つ〝万能感〞だ。「自分は何でもできる」と思い、風呂敷を広げて手を出す傾向がある。何でも手に入る良い時代を生きたからこそ、あれもやろう、これもやろうと挑む意欲が強い。

その感覚は今でもバブル世代の多くが共通して持っている。青山学院大学陸上競技部監督の原晋は、1967年生まれのバブル世代であり、その典型だ。本人は高校や実業団で駅伝を経験していたが、箱根駅伝に出走したことはない。

OBでもなかったのにもかかわらず、2004年に青山学院大学陸上競技部監督に就任。当時、青学陸上部は箱根駅伝に出場していない弱小だった。それでも「箱根駅伝で優勝を目指す」と宣言した。

その根拠を聞くと、「他の大学は俺たちが若い頃と同じ練習をしている。青学で現代の最新トレーニングを取り入れたら絶対勝てる」と思ったという。これこそまさに万能感だろう。就任から約10年後、本当に青学を総合優勝に導いた。

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バブル世代の万能感とは

バブル世代と一つ上の新人類世代は、明確に切り離せない部分もある。その意味で、一つ上の新人類世代ではあるものの、バブル世代特有の万能感を持っているのが、北海道日本ハムファイターズ元監督で、大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平を育てた1961年生まれの栗山英樹だ。

大谷に二刀流をやらせたのは、実は万能感がベースにある。

上の世代の名監督である野村克也氏(35年生まれ)や星野仙一氏(47年生まれ)は、「お前はピッチャー、お前はバッター」と、はっきりと役割を分けていた。ところが、栗山元監督は「翔平、2つやっちゃおうよ、何なら外野もやっちゃおうよ」と言い出し、本当にやらせてしまった。

後々話を聞いてみると、「本当に外野をやらせようと思ったけど、翔平がけがしちゃってさ。それがなければ三刀流までやらせることを考えていた」というから驚きだ。

筆者は原監督と交流があり、栗山元監督とは対談の仕事でご一緒したことがあるが、2人とも考え方や話す雰囲気が似ていて、「同じ人と話している」と錯覚するほどだ。

だが、一方で問題行動を起こすバブル世代もいる。「夜の校舎窓ガラス壊してまわった」と先生や大人への反発を歌った尾崎豊の歌『卒業』を、若い頃聴いて育った世代だ。

親になってもその癖が抜けず、教育に納得がいかないと学校に乗り込んでくる、いわゆる「モンスターペアレント」(モンペ)になるケースが非常に目立った。この世代の後、モンペ問題は沈静化する傾向があったため、世代であるが故の現象である可能性が高い。