「障がいやジェンダーなど、社会の壁を払拭するムーブメントが広がるきっかけに」オリパラの垣根を超えたサポートが画期的な日本生命とバスケットボール界の共同事業

「誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会」の実現を

競技の垣根を越えたインクルーシブなスポーツの応援は企業の成長にとってもメリットがある。その一つがサステナビリティ経営の高度化だ。

「日本生命は、今年度からサステナビリティ経営を通じて、 『誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会』を目指しています。そして、この実現に向けた取り組みの1つとして、スポーツを活かしています 。人々 に楽しさや感動を与え、心に豊かさをもたらすスポーツは、子どもたちの体験格差の解消や心身の健康増進、そして多様性・公平性を認め合い受け入れるダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の理解促進にポジティブに作用します」(鹿島さん)

スポーツをサポートすることで、全国47都道府県に広がる108支社と約1,500の営業部、そこで働く約5万人の営業職員が、同じ志を持つ地域の企業や自治体などの仲間を増やし、互いの強みを掛け合わせたサービスの提供や社会貢献に繋がる効果もあるという。

「営業職員にはもともと地元で暮らす方も多いので、人の輪を広げていくパワーが非常に強力です。生命保険は数十年単位でお客さまとお付き合いする商品なので、まさに地域に根ざした息の長い活動が地元ネットワークを強固にしています」と鹿島さん。

そして、「日本生命の職員が車いすバスケットボールの試合に足を運んだり、イベントボランティアに参加したりして、スポーツをサポートすることを通じて“自分事化”することで、職員のエンゲージメントも高まっています」とも。

職員全体に浸透するにはまだ少し時間がかかりそうだというが、日本生命には車いすバスケットボール女子日本代表で東京2020パラリンピックに出場した北間優衣さんが職員として在籍し、同じ職場で働く仲間を自然と応援する空気が社内にあるそうだ。

パラスポーツ単体では知名度や発信力の弱さは否めない。だが、志を共にする仲間と汗をかく日本生命のような真のパートナー企業が増えればパラスポーツの力はもっと発揮され、障がいやジェンダーといった社会の壁を払拭するムーブメントが大きくなるはずだ。

その先駆者として日本生命はこれからも人や組織を巻き込みながら走り続ける。

写真/越智貴雄[カンパラプレス]・ 文/高樹ミナ