過激な描写が人気のマンガ作品のアニメ化は、原作の描写をどこまで再現されるのか注目されます。原作でのグロテスク、もしくは官能的な場面は、「カットされるのでは」と心配するファンも少なくありません。そのような心配をよそに、過激な場面を再現したアニメもあります。



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想像以上に過激すぎ

 マンガの過激な描写は、アニメ化される際にカット、変更されることも少なくありません。しかし、ファンから「これ放送して大丈夫なの?」といわれるような、原作の過激なシーンがそのままアニメ化された作品もありました。

『ヨルムンガンド』

『ヨルムンガンド』は、累計発行部数200万部を突破した高橋慶太郎先生の同題マンガが原作で、2012年にアニメ化されました。同作は、武器商人「ココ・ヘクマティアル(CV:伊藤静)」と私兵たちが、世界平和のためにビジネスを展開していく物語です。

 もともと性的な表現が多く含まれる作品で、なかでも特に官能的で過激といわれたシーンがアニメ2期の第13話に登場しました。「ブックマン」こと「ジョージ・ブラック(CV:磯部勉)」の下で準軍事工作担当官として従事する「ヘックス(CV:久川綾)」は、同じくブックマンの部下である「スピン(CV:坂巻学)」に色仕掛けをします。

 これは、ブックマンが計画しているココの籠絡計画である「オペレーション・アンダーシャフト」の情報を聞き出すためでした。このシーンでは、原作と同じ構図で描かれたカットが多く、ヘックスがスピンの上にまたがって陰部を押し当てたり、服を脱いで胸を舐めさせたりする場面が描かれます。

 作画だけでなく『美少女戦士セーラームーン』の「セーラーマーキュリー」役などを務めた久川さんの巧みな演技もあって「久川さんの妖艶な声できわどさが倍増した」と話題になりました。

『エルフェンリート』

 岡本倫先生のマンガ『エルフェンリート』は、2004年にCS放送でアニメ化されましたが、手足が切断されるといった過激なシーンが多く、翌年の地上波放送では修正版が放送されました。同作は海外ファンも多く、「2004 AnimeReactor Community Awards」など多くの賞を受賞しています。

 物語は、突然変異体である「ディクロニウス」という種族の少女「ルーシー(CV:小林沙苗)」が、国家施設から脱走する場面から始まりました。第1話では、ルーシーが警備員を次々に殺害し、四肢が飛び散るなどグロテスクなシーンが描かれます。

 特に過激だったのは、ルーシーを施設から出さないように研究所の室長「蔵間(CV:細井治)」と18人の警備員が立ちはだかったシーンです。ルーシーは、まず目の前に飛び出してきた蔵間の秘書「如月(CV:山本麻里安)」の頭部を、超能力によって引きちぎります。

 これをきっかけに一斉攻撃が始まり、ルーシーは如月の胴体を盾にして、すべての銃弾を避けました。その後、弾切れになった警備員たちを次々と殺害していき、ひとりの警備員から鼓動している心臓だけを取り出し、腰を抜かしている警備員に投げつけるという衝撃的な場面も描かれます。ネット上でも「1話で耐えきれなかった」「あれにビックリして初見で切っちゃうともったいない作品」と、語り継がれる衝撃の1話となりました。

『メイドインアビス』

『メイドインアビス』はつくしあきひと先生の同題マンガを原作としたアニメで、長年「絵柄はかわいいのに内容が鬱すぎる」と多くの人に衝撃を与えてきた作品です。探索しつくされた世界で唯一の秘境、巨大な縦穴「アビス」には多くの遺物が眠るといわれています。作中では探窟家たちが命がけの危険と引き換えに、未知へのロマンを求め「アビス」の謎を解くために奈落に挑み続けます。

 流血や臓器が飛び出るシーンもたびたび描かれる『メイドインアビス』でも、特にトラウマ回といわれるのが第10話です。原生生物「タマウガチ」の毒に侵された主人公「リコ(CV:富田美憂 )」は、「アビス」を探索するなかで上昇負荷が起こる謎の身体現象「アビスの呪い」も受けてしまいます。原作でもかなりグロテスクだった場面のひとつで、全身の穴から出血して激痛が伴う痛ましい描写がアニメ版でも描かれています。

 また全身に毒が回らないようにするために、リコの左腕を「レグ(CV:伊瀬茉莉也)」が岩で殴って骨を折ってから、のこぎりで切断するシーンも出てきました。リコが苦しそうに叫ぶ声が響き渡るのも相まって、視聴者からは「好きな作品だけど10話だけ見返せない」「グロすぎて見るには覚悟が必要」「痛がる演技もうま過ぎて目をそらしても声だけでつらい」といった声が出ている場面です。