人気マンガが実写化される際、多くの人がキャラクターの再現度に注目します。2次元のキャラを再現しようとした場合、コスプレ感が出てしまったり、イメージと違う俳優が起用されたりすることも少なくありません。なかには原作よりも、だいぶ「美形化」してしまったキャラもいました。



『四月は君の嘘』ポスタービジュアル (C)2016映画「四月は君の嘘」製作委員会 (C)新川直司/講談社

【画像】え…っ?「鬼太郎ってこんな銀髪イケメンだっけ」 こちらが実写で「美形化」したキャラです(8枚)

発表時は不安しかなかったのに「案外違和感ないかも」

 人気マンガの実写化では、芸能人が演じるためにキャストが原作のキャラクターより美形化されてしまうことが多く、たびたび物議を醸します。冴えないキャラでも美形の俳優が起用され、「さすがに美形化しすぎでしょ」といったツッコミが入ることもありました。しかし、そのように美形化が議論を呼びながらも、ファンから称賛される作品もありました。

『四月は君の嘘』

 新川直司先生の同題人気マンガを原作とした映画『四月は君の嘘』は、2016年に公開されました。主人公は天才ピアニストの少年「有馬公正(演:山崎賢人)」で、母の死をきっかけにピアノが弾けなくなってしまいます。ヴァイオリニスト「宮園かをり(演:広瀬すず)」との出会いを経て、公正が再びピアノと向き合う姿を描いた青春ストーリーです。

 原作の公正は地味な外見で黒縁メガネをかけた冴えないキャラクターですが、キャスティングされたのは、雑誌「ViVi」2016年1月号の国宝級イケメンランキングで殿堂入りを果たしていた山崎賢人さんでした。このキャスティングには、「イケメンが起用されるとキャラが崩れる」など、納得いかないファンの意見も多く出ています。

 しかし、山崎さんは原作の見た目に近付いただけでなく、つらい経験を乗り越えてピアノに向き合う公正の繊細な心情を細やかな演技で表現し、「心が震える演技で何度も泣いてしまった」「公正の繊細さが伝わってくる演技だった」と評価を一転させました。

『妖怪人間ベム』

 1968年にアニメが放送された『妖怪人間ベム』は、アイドルグループ「KAT-TUN」の亀梨和也さんを主演に迎え、2011年に日本テレビで実写ドラマ化、2012年に実写映画化されました。人間になりたいと望む妖怪人間「ベム(演:亀梨和也)」「ベラ(演:杏)」「ベロ(演:鈴木福)」が、いつかは人間になれると信じながら悪と戦います。

 アニメでは、浅黒い肌にスキンヘッドでがっしりとした体格のベム ですが、亀梨さんが演じたベムは白い肌に長い銀髪で細身であり、原作とは対照的な外見でした。そのため、実写化のビジュアルが公開されると、その美しい見た目から「原作では醜い妖怪なのに美しすぎる」「こいつが人間になりたいと思うかな」と物議を醸し、あまりにも原作と見た目が違うため、ネット上では「ベム梨」とも呼ばれています。

 しかし、亀梨さんは目力や目の動きで感情を伝える演技力の高さで視聴者を魅了し、「切ない表情や目で魅せる、原作へのリスペクトが感じられる演技だった」「演技の所作がちょいちょい細かくて丁寧に役作りしたのかな~て感じがする」と、今も高い評価も得ています。

『なのに、千輝くんが甘すぎる。』

 亜南くじら先生によるマンガ『なのに、千輝くんが甘すぎる。』は、2023年に畑芽育さんとなにわ男子の高橋恭平さんのW主演で実写化されました。同作は、人生初の告白で玉砕した女子「如月真綾(演:畑芽育)」が学校一のイケメン男子「千輝彗(演:高橋恭平)」と「片想いごっこ」をしているうちに、心惹かれていく青春ラブストーリーです。

 原作の真綾は同級生から「ブス」と言われ、自分でもそう認めています。映画の序盤でも、真綾が告白に失敗し、告白相手にSNSで「知らない女に告られたw ストーカーかよ!!!! マジキモイww BUSUで辛すぎィ」と書き込まれてしまうシーンが登場します。原作の真綾も「主人公補正」もあってか読者からは普通にかわいい女の子に見えるのですが、その真綾を畑さんが演じると、「真綾かわいすぎじゃない?」「実写だと余計『ブス』扱いが不自然だな」と驚きの声があがっていました。

 とはいえ、1歳で芸能界入りし芸歴20年を超える実力派で、大河ドラマにも出演経験がある畑さんが演じる真綾は、目を大きく見開いたりオーバーな動きをしたりと、原作のコミカルな真綾を見事に表現し好評でした。

 また無言で悲しむシーンでも高い演技力を発揮し、「表情と動きだけなのに、真綾の苦しさが伝わってきて、思わずもらい泣きしてしまう」「表情豊かさが原作の真綾だった」「演技と思えないリアルさで作品に引き込まれた」と高評価されています。

※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」が正しい表記