主人公の女の子は、突然何かに驚き、「今これを読んでいるあなた! もうこれ以上読まないで下さい!」と読者に向かって懇願しました。どうやら彼女は、気付かないうちにマンガの主人公になってしまったようで……。漫画家の高村秀路さんによる創作マンガがX(旧:Twitter)で公開され、斬新なストーリー展開に反響が集まっています。



あと8ページで死ぬ運命の主人公?(高村秀路さん提供)

【マンガ本編】「ページをめくらないで!」主人公の運命とは あなたは最後まで読む? ※凄惨な描写が含まれます。閲覧にはご注意下さい。

読む側と読まれる側が交錯する、斬新な世界

 木々が生い茂る場所を歩く主人公の女の子は、突然何かに驚き、「今これを読んでいるあなた! もうこれ以上読まないで下さい!」と読者に向かって懇願しました。どうやら彼女は、気付かないうちにマンガの主人公になってしまったようです。以前読んだ恐ろしいマンガと同じ状況になったことに怯え、「死にたくない」と訴え……。

 漫画家の高村秀路さん(@takamurahideji)による創作マンガ『漫画を描きましたが読まないであげてください。』がX(旧:Twitter)で公開されました。本作は「ビッグコミックスペリオール」に『それでは次回にご期待ください』というタイトルで掲載された読み切り作品です。作品を読む側と読まれる側の攻防が繰り広げられる、そんな世界で主人公が迎えた残酷な結末とは?

 読者からは「これは読んでしまう」「ごめん」「かわいそうなことしちゃったな」「最後まで読まないであげた」「面白かった」「斬新で好き」「引き込まれた」などの声があがり、投稿には7.4万いいねの反響が集まっています。

 作者の高村秀路さんに、お話を聞きました。

ーー今回のお話は、作品と読者の境界線がなくなるような斬新なお話でしたが、どのように思いついたのでしょうか?

 小学生の頃、大好きなマンガがあって、その世界に自分がいる設定の二次創作小説を書いていました。いわゆる夢女子です。そのときにぼんやりと、書く自分と書かれる自分、読む自分と読まれる自分がいる感覚がありました。その頃を思い出してマンガにしました。

ーー「ページをめくらないで!」と訴える主人公が印象的でした。ページ構成などで工夫した点やこだわった点などはありますか?

 最初にネームを出したあと、「スペリオール」の担当編集さんに「残りページをカウントしていったら分かりやすいのでは」とご指摘いただき、モブにカウントしてもらうことにしたのは気持ち悪くて自分でもちょっと気に入っています。普通に生活してて、急にその辺を歩いている知らない人が自分に向けて笑顔でカウントダウンしてきたら怖いなぁと思います。



『うらうらひかる 津々に満つ』全2巻が発売中(マッグガーデン)

ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

「途中でやめた」「読めなかった」というご報告がうれしかったです。単に面白くなかっただけだとしても、読まなかった方のスマホや雑誌のなかでは彼女はまだ生きています。永遠にマンガのなかで「読まないで!」と言っています。ありがとうございます。

ーー単行本『うらうらひかる 津々に満つ』全2巻が発売中です。お話のあらすじや見どころなどをご紹介いただけますか?

 亡くなった元恋人の息子と一緒に、彼女の臓器の提供先を訪ねて旅をする話です。2巻で完結しているので読みやすいです。ホラーでもグロでもないので読んでもらえたらうれしいです。