もし恐竜を絶滅させた巨大隕石が落ちてきたら、人類は生き延びられるのか? / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
今から約6600万年前、メキシコのユカタン半島に衝突した巨大隕石により、恐竜時代は終わりを迎えました。
その衝撃は凄まじいもので、当時いた生物種の約75%が絶滅に至ったといわれています。
この危機を乗り越えて以来、同じレベルの隕石が地球に衝突したことはありません。
しかし地球には常に大小さまざまな隕石が飛来しており、決して油断はできない状態です。
では、もし今の地球に恐竜を絶滅させたのと同等の巨大隕石が落ちてきたら、人類は生き延びることができるのでしょうか?
まずは人類ができる対策の前に、巨大隕石がもたらす被害の大きさについて見てみましょう。
目次
巨大隕石が衝突したとき、地球では何が起こるのか?人類最大の武器は「事前の予測」ができること隕石衝突を生き延びるための「3つの作戦」とは?
巨大隕石が衝突したとき、地球では何が起こるのか?
恐竜絶滅の引き金となった巨大隕石が落ちてきたのは、約6600万年前の中生代・白亜紀末のことです。
場所は今日のメキシコ・ユカタン半島付近で、直径約10キロの隕石が直撃しました。
この隕石は「チクシュルーブ衝突体」と呼ばれています。
チクシュルーブ衝突体の想像図 / Credit: ja.wikipedia
そもそも隕石の落下自体は何も珍しいことではありません。
直径数センチ〜1メートル未満の隕石なら毎日のように地球に飛来しており、そのほとんどは地球の防護シールドである大気圏で燃え尽きています。
一方で、隕石のサイズが大きくなるほど、地球への衝突確率は低くなります。
その確率は直径10〜100メートル未満のものであれば、数百年〜数千年に一度。直径1キロ以上になると、数百万年に一度です。
さらにチクシュルーブ衝突体のような直径10キロを超える巨大隕石なら、数千万〜数億年に一度となります。
しかしチクシュルーブ衝突体が地球に与えたダメージは、その低確率を補って余りあるほど絶大なものでした。
まず隕石が衝突した瞬間、強烈な衝撃が地球を揺らすと同時に、太陽より何倍も明るい火球が出現します。
その温度は数千℃にも達し、一瞬にして地上の生物や草木を焼き払いました。
地上は一挙に焦土と化し、衝突地点から半径数千キロにわたって気温が100℃を超えたと考えられています。
太陽より何倍も明るい火球が出現! / Credit: canva
加えて、落下した場所がユカタン半島沖だったため、海がひっくり返し、巨大な津波が発生しました。
しかも津波の高さは1000メートルを優に超えたとされており、海から離れた内陸部の動植物ですら一網打尽にされたのです。
また落下の衝撃で高く打ち上げられた膨大な数の巨大な岩石が、重力によって再び地上に引き寄せられ、地球規模で「死の雨」を降らしました。
これらはただの岩石ではなく、強烈な熱エネルギーを持っており、一つ一つが核爆弾並みの威力を地上に与えたとされています。
さらに悲劇は続きます。
上空に巻き上げられた大量の粉塵や硫黄が分厚い黒雲を生み出し、風に運ばれることで地球全体を覆ってしまったのです。
これにより地上へ届く太陽光が激減し、今度は急激に地球の気温が低下に転じました。
一説では最大で20℃以上も寒冷化し、この異常気象は30年以上も続いたと推定されています。
恐竜たちはみんな死んでいった / Credit: canva
太陽光がなくなることで植物の光合成もストップするので生態系が崩壊し、食物連鎖のバランスも崩れて、多くの生物が食糧難に陥りました。
こうした急激な環境変化に適応できなかった恐竜たちはほぼ全ての種が絶滅。
他の動植物たちも一部を除いて、大半が絶滅に追い込まれたのです。
ではこの恐るべき脅威が現代に起きた場合、人類はどんな対策を講じることができるのでしょうか?
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人類最大の武器は「事前の予測」ができること
恐竜を絶滅させたのと同等の巨大隕石が飛来してきたとき、人類には何ができるのか?
まずもって最重要課題となるのは、隕石の飛来を「事前に予測」することです。
正直にいうと、これができなければ、人類が生き延びる確率はかぎりなくゼロに近づくでしょう。
地球に向かってくる隕石を前もって発見できる技術は、人類が生み出した最大の武器といっても過言ではありません。
恐竜たちはこれができなかったせいで、隕石衝突の被害をもろに受けることとなりました。
(もし事前に隕石の飛来を予知して、落下地点から遠く離れた場所に避難していれば、少なくともいくつかの種は生き延びられたかもしれません)
人類の最大の武器は「事前の予測」ができること / Credit: canva / ナゾロジー編集部
しかし人類は長年にわたって築き上げてきた科学技術により、地球に接近する隕石を前もって発見することができます。
実際に人類は宇宙に打ち上げられている探査機を使って、地球近傍の小惑星や彗星を追跡観測し、そのうち地球に衝突する可能性があるものを随時チェックしているのです。
そして隕石の正確な軌道計算ができれば、数十年単位から最大で100年先までの接近・衝突リスクを予測しておくことができます。
地球近傍の小惑星を追跡観察するNASAの探査機「NEO Surveyor」 / Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona
具体的な例を挙げますと、1997年に発見された地球近傍小惑星「1997 XF11」は2028年に地球に最接近することがわかっています。
つまり、人類には恐竜たちと違って、「巨大隕石が地球に衝突する!」とわかってから最大で数十年以上の準備期間があるわけです。
では、この間に私たちはどんな準備を整えておくべきなのでしょうか?