超光速時代の幕開けになるか?
物理学会の権威ある科学雑誌にワームホール航法が立て続けに掲載されるのは非常に珍しい / Credit:Canva
今回行われた2つの研究により、ワームホール航法が物理学の常識に反せず、人間にとって安全に実現できることが示されました。
もしこの2つの論文が正しければ、ワームホールさえ生成できれば、人間は銀河全域に進出できることになるでしょう。
現在ワームホールの生成方法は不明ですが、兄弟であるブラックホールのほうは見通しが立ちそうです。
現在人類が稼働させている粒子加速器は、理論的に極小のブラックホールを生成できると考えられており、世界各地でブラックホールを生成するプロジェクトが進行しています。
粒子加速器で生成されるブラックホールは非常に小さい上に短時間で消滅すると考えられているため、地球や太陽系が飲み込まれてしまう可能性はわずかです。
遠い将来、ブラックホールに続いてワームホールも生成できれば、人類は本当に星々の海に漕ぎ出すことができるかもしれません。
※この記事は2021年公開の記事を再掲したものです。
参考文献
Physicists Propose New Idea for “Human-Safe” Wormholes
https://futurism.com/physicists-human-safe-wormholes
元論文
Traversable Wormholes in Einstein-Dirac-Maxwell Theory
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.126.101102#fulltext
Humanly traversable wormholes
https://journals.aps.org/prd/abstract/10.1103/PhysRevD.103.066007#fulltext
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。
夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
やまがしゅんいち: 高等学校での理科教員を経て、現職に就く。ナゾロジーにて「身近な科学」をテーマにディレクションを行っています。アニメ・ゲームなどのインドア系と、登山・サイクリングなどのアウトドア系の趣味を両方嗜むお天気屋。乗り物やワクワクするガジェットも大好き。専門は化学。将来の夢はマッドサイエンティスト……?