さあ、奴の力を借りて「火」をつけよう!

ここまでの時点で、ドラゴンが火を吐くための「燃料」と「酸素」が出そろいました。

しかし、これではまだドラゴンの口から高温のジェットが漏れているだけなので、火はついていません。

私たちがドラゴンの前にチャッカマンでもかざせば簡単に火はつきますが、そうはいきませんね。

そこでローチ氏は、ドラゴンに自力で着火させてもらう方法として「デンキウナギの能力を搭載したらいい」と考えます。

デンキウナギはご存じのように、体内に発電器官を持っており、そこから最大800ボルトもの電気を発生させることが可能です。


デンキウナギの発電能力で燃料に着火! / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

この発電器官をドラゴンの口内に搭載するとどうでしょう?

ドラゴンが高温ジェットを噴出するタイミングで、口内に短い電気パルスを発生させます。

すると電気パルスが高温ジェットと接触することでスパークし、酸素を豊富に取り込んだオイル燃料が着火されるのです。

これにより、私たちがファンタジー作品でよく目にするドラゴンの強烈な火炎放射が実現するとローチ氏は考えます。

つまり、「フルマカモメ」と「ミイデラゴミムシ」と「デンキウナギ」の能力をまとめて持っていれば、ドラゴンの火炎放射は可能になるのかもしれません。

まだ地球上に当然火を吐く生物なんていませんが、もしここで考察したような機能を一度に獲得する生物が生まれれば、火炎放射を吐き出す生き物がこの世界でも誕生できるかもしれません。

参考文献

House of the Dragon: if dragons were real, how might fire-breathing work?
https://theconversation.com/house-of-the-dragon-if-dragons-were-real-how-might-fire-breathing-work-232777

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。
他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。
趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。