【新築マンション平均1億円超え】株価変調・金利上昇・円高のトリプルショックで高“値”の花のマンション価格がついに暴落!? 不動産専門家のガチ回答とは

株価・金利・為替のトリプルショックで暴落!?

日銀のさらなる利上げも想定されるが、まず金利の変動はマンション価格にどう影響するのだろうか。

「住宅ローンの変動金利は現在、最安で0.3%前後です。日銀は今後の利上げ可能性について触れており、金利次第では買い控えが起きるかもしれません。

1億円の物件を想定した場合、0.375%→0.525%→0.975%の変動金利ごとに月の支払額は25万4,099円→26万0,691円→28万1,122円と上昇します。0.375%と0.525%で差額は6,592円ですが、0.975%との差額は約2万7千円にもなります。

これだけ差があると、マンション需要に影響するのではないでしょうか。0.7~1.0%の実行金利がそのラインと考えられます」

ただし、短期間で急激に利上げしなければマーケットに影響しないと稲垣氏は見ている。
急激に上昇すると買い控えのマインドになりうるが、徐々に金利が上がれば購入マインドにそれほど影響はしないと考えられるからだ。

それでは円高はマンション下落につながるのだろうか。

「為替は外国人所有者の動向に影響します。円高局面では保有者が得するので、トレンドになると投げ売りに出るかもしれません。1ドルが160円の時に1億円のマンションを購入された海外の方は、1ドルが120円になると2499万9960円もの利益が出ます。

海外勢が好むマンションは1億超の物件が多いため円高の具合によってはかなりの数が売られる可能性があります。もちろんそれを飲み込むほどの内需があれば問題ありませんが」

それでは株価下落のほうはどうだろうか。一般に円高になると株価に下落圧力がかかる。そしてこれまでの推移をみると、日経平均とマンション価格には90%の相関関係があるという。円高になり株価が下がれば、少し遅れてマンション価格が下がるということだ。

「主要客層であるパワーカップルの場合、株式投資で含み益を得ているでしょうから、株価下落で含み益が減るとマンション購入のマインドが下がるかもしれません。投資家の方も同じです」

ということは利上げ、為替、株価下落のいわば「三重苦」でマンション価格は下がると見て良いのだろうか。

「いえ、結論でいえば都内のマンション価格は少しずつ上がると考えています。その3つの影響はあったとしても、急激な変化でなければ建築費の増加や堅調な需要に支えられ、マンション価格も堅調に推移するでしょう。もし下がるとしたら、震災や有事、経済ショックという本当に深刻な事態が起きてしまった時だと思います。

ただ、リノベーションの中古物件も含めれば、買いやすい物件は都内でも数多くあります。例えば田町にある1982年築のリフォーム物件は6500万円台で、世帯年収1000万円の世帯でも手が届く範囲です。華やかな話だけにとらわれずにしっかり探せば、よいマンションは必ずあります」

これから新規購入を考えている層にとって価格高騰はつらい話だが、自分の希望条件を見据えつつ、根気強く良い物件を探していく必要がありそうだ。

 取材・文/山口伸  写真/稲垣ヨシクニ