マンガを読んでいると、「このシーンはアニメ化できないだろうな……」と思うようなシーンと出くわすことがあります。アニメ化の際には、たいていそうしたシーンがマイルドな表現に変えられているものですが、まさかの「完全再現」を行ってしまった作品も存在するようです。
『DEVILMAN crybaby』キービジュアル (C)Go Nagai-Devilman Crybaby Project
【画像】え…っ? こんな美少女が生首に? こちらが『デビルマン』牧村美樹の入浴シーンです
ヒロインの「生首シーン」もしっかりと……
ひと昔前と違って、近年のアニメ作品は原作を忠実に再現する傾向にあります。ファンにとっては大変喜ばしい風潮とはいえ、なかには「アニメ化して大丈夫?」と心配になるようなシーンまでしっかりと再現してしまう作品も生み出されてきました。
『チェンソーマン』のゲロキス
2022年にアニメ化された『チェンソーマン』は、少年マンガが原作ながら過激なシーンが目白押しでした。グロテスクな場面も多々あったなか、ある意味もっともファンにトラウマを与えた場面といえば、主人公「デンジ」と「姫野」先輩による「ゲロキス」ではないでしょうか。
それはデンジが「公安デビルハンター」の、新人歓迎会に参加したときのことでした。飲み会の最中、先輩の姫野が酔うと「キス魔」になることが発覚し、デンジはファーストキスを期待して胸を高鳴らせます。
そしてついに泥酔した姫野がデンジにからみ始め、ふたりはキスを交わすのですが、ここで思いもよらぬ悲劇が起きました。姫野はデンジの唇を奪った直後、激しく嘔吐し、吐瀉物がデンジの口のなかへ流れ込んでしまったのです。さらに、昔からろくな食生活をしていなかったデンジは、口に入ったものを何でも飲み込んでしまうクセを持っていました……。
原作でも衝撃なこのシーンは、アニメ版では原作にはなかった音や色、動きがついたことで生々しい表現に磨きがかかっています。一応モザイクがかかっていたものの、「ゲロキスでもらいゲロしそうになった」「ゲロのところがあまりにも気持ち悪すぎてリタイア」などの声も出ており、多くの視聴者にトラウマを与えたのは言うまでもありません。
『進撃の巨人』ザックレー総統の芸術作品
『進撃の巨人』は人類を食らう巨人が存在する世界観ということもあり、残虐なシーンが数え切れないほど描かれています。そのため読者からは多少の改変もやむなしと予想されていましたが、アニメSeason3では思わぬシーンがNHKで「完全再現」されました。
それが「ダリス・ザックレー」総統の「芸術作品」です。王政を嫌悪していたザックレー総統は革命を成し遂げた後、いままでのうっぷんを「拷問」という形で貴族たちにぶつけます。
まず貴族をほぼ全裸にして、頭を逆さにM字開脚で拘束しており、これだけでもかなり屈辱的な姿でしたが、さらにお尻には食事を摂取させるための漏斗(ろうと)が刺さっていて、股間からはホースが伸びています。そのような貴族の痴態をザックレー総統は「これ以上の芸術作品は存在し得ない」と評し、貴族が口答えした際には股間のホースを口に突っ込むことで黙らせていました。
貴族のあられもない姿と、ザックレー総統の心から楽しそうな姿は、あまりにもシュールな対比を生み出しています。こうしたブラックユーモアを真正面からきっちり再現していることも、アニメ版が原作ファンから支持されている理由のひとつでしょう。
『DEVILMAN crybaby』牧村美樹の最期
永井豪先生のマンガ『デビルマン』は、救いのないバッドエンドを迎えることで有名で、1972年放送のTVアニメでは原作とは異なるラストが描かれていました。しかし2018年にNetflixで制作、配信された『DEVILMAN crybaby』では、時代背景やキャラ設定を現代風にアレンジしつつ、原作の筋書きにほぼ忠実なストーリーが展開されています。
なかでも印象的なのが、ヒロインである「牧村美樹」の最期です。物語終盤、悪魔に煽動され暴徒と化した民衆によって、美樹は惨殺されてしまいます。しかも主人公の「不動明」が牧村家に戻ったときには、家屋は燃やされ、美樹の体はバラバラにされていました。串刺しになった美樹の首や四肢が見せしめのように掲げられるシーンは、まさに地獄絵図といっても過言ではありません。
原作を知っている人でさえもなかなかキツい描写だったようで、ネット上では「いつ見てもエグイ」「みんなのトラウマ一直線」「原作読んでるから結末は知ってるんだけど、相変わらず心が重くなる作品よな」といった声が出ていました。また、美樹の家族である牧村家の両親、弟は原作とは別の残酷な運命を迎えており、こちらもトラウマになった人が多いのではないでしょうか。