完全無欠のロックンローラー」の大ヒットで知られる、高原兄(65)。シャウトあり、セリフあり、秋田音頭ありという、難易度が高そうに感じるこの曲を歌うコツについて、語ってもらった。「ヨロシク」!

──そもそも、「完全無欠」誕生のきっかけは?

 ヤマハのポプコン(ポピュラーソングコンテスト)をきっかけにデビューすることになるんですが、実を言うと、『完全無欠』までに10回ほど落選してるんですよ。それで次に挑戦する時に色々と策を練りましてね。当時は、ロックンロールがブームだったんで、今までにないロックを作ろうと。それで、サビは横浜銀蠅のようなメロディーで、秋田音頭のリズムも取り入れて。そこに、当時若者に人気があったラジオ番組「スネークマンショー」に出てくる、三枚目な感じのロック歌手のキャラで歌ったらどうだろうと。それがうまくハマッて、ポプコンや世界歌謡祭でもグランプリをいただいたということですね。

──歌い出しの「朝も早よから〜♪」から、いきなり高い音でスタートするので難易度が高そうですね?

 Aメロのところは、秋田音頭なんですよ。セリフに近くて、当時はまわりの人から「あれは、ラップなの?」と聞かれたぐらいで。だから、譜面としては音程がないので、自分の歌いやすい音の高さで歌っていいんです。しかも、音の高低を付けずに、同じ音程で歌ってもいいように作っていますから、好きなように歌ってもらって大丈夫。だから、まぁ、難易度はそれほど高いとは言えないでしょう(笑)。

──では、セリフを言う時のポイントは?

 イントロのところで「俺って、ビッグ?」「俺って、グレイト?」のところは、基本的に自分では格好いいと思っているんだけど、実際は格好よくない感じで言った方が、それらしい雰囲気が出ますね。あと、三番が終わった後に言う、「サンキュー」ですね。これも同じで、気取って格好よく「テンキュー!」なんて発音よく言っちゃうと全然つまらない。英語を発音してるんじゃなくて、数字の3と9を言う感じ。それくらい、ちょっと間の抜けた言い方がいいと思いますよ。

──では、歌う人も三枚目キャラの人がピッタリ?

 この曲を作った時っていうのは、僕自身がね、学生だったということもあるんですけど、お金も力も何にもなくてね。何の取り柄もない人間が、ポジティブに生きないと前に進めないっていう、そういう心境で歌ってましたから。そんな風に生活してらっしゃる方にピッタリかもしれないですね。しかも、この曲は合いの手がたくさんあるから、まわりの人達に応援してもらって盛り上がっていきますから。自分に自信がなくても、歌いながら「大丈夫、大丈夫。前向きに!」って思っちゃう人は、この曲のよさをもっと引き立たせるでしょうね。

──最後に、この歌の代名詞である「ヨロシク!」の正しい言い方を教えてください!

「ヨロシク」は随分、自分でも練習しましたから。これ実は、所ジョージさんの言葉からお借りしたものなんですよ。それでね、ここは普通に言っちゃうと、さらっと聴こえて面白くない。コツは、「ろ」のあたりから巻き舌気味で言うんですよ。「よろォしィくゥ!」っていう感じで言えるようになると、言葉にメリハリが出てきます。でも何よりも、サビの「完全無欠のロクンローラ〜♪」と「突っ張って〜♪」さえ、きちっと覚えて歌えば、この曲は盛り上がると思いますんで、そこんとこ、ヨロシク!

高原兄:59年富山生まれ。大学在学中にバンド「アラジン」を結成し、デビュー曲「完全無欠のロックンローラー」で一世を風靡。以後、作曲家として、島谷ひとみ、中村美律子、新選組リアンなどへの楽曲提供や、タレントとしても活躍している。また、家業を継ぎ、電設工事に関わる企業の代表取締役社長という顔も。

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