外国人生徒に対して心ない言葉を投げる生徒も
取材に応えてくれた生徒の中には、「いじめまではいかなくとも、ネットやSNS上のトラブルは日常茶飯事だ」と語った生徒も多数いた。
「仲が悪くなってSNSのフォロー外したりとか、鍵垢(許可した親しい人たちしか見られないプライベートのアカウント)をブロックして見られなくしたりとか、そういう話はよく聞きます。でも、それはただ仲が悪くなっただけなんで、いじめとはまた違いますよね」 (都内公立高校2年生・女子)
「僕の学校では、リアルでもネットでも、いじめとかは別にないですよ。でも、勝手に写真を撮って、許可なくSNSにアップして、個人間のトラブルになることはよくあります。いくら友だちだからって、やっていることは盗撮と同じだから、自分がされたら嫌ですよね。やっている本人は、ただの悪ふざけのつもりなんだと思います」(都内公立高校1年生・男子)
しかし、こうした「悪ふざけ」が「いじめ」へと繋がっていくケースが学校現場では多いとのことだ。冒頭で取材に答えてくれた都内公立中学校勤務のAさんは、「こうした悪ふざけに気づき次第、早急に指導し、いじめに繋がる前に芽を摘むよう対策を心がけている」と話してくれた。
また、調査を進めていくと、学校によっては「SNSいじめ」よりも、昔からあるようないじめのほうが頻繁に行われているところもあるという。
「SNSやネットを使ったいじめよりも、リアルでの直接的ないじめのほうが多いです。僕の学校には外国人の生徒も多いのですが、たとえば黒人の生徒に対して蔑称を使うなど、外で言ったら大変な目に遭ってしまうような悪口が飛び交っています。
そういう子は、先生からは『冗談でも不謹慎だ』とめっちゃ怒られていますよ。僕も中国出身の子と喧嘩したときに、『チャイニーズ』と言ってしまったことがあります。そのときは僕も先生にめちゃくちゃ怒られたし、自分でも言い過ぎたなと後から反省しました」(都内私立高校1年生・男子)
「ちょっとヤンキーっぽい感じの奴らにご飯をおごらされたり、購買でパンとかを買わされたりすることがあります。断ったら『ノリ悪い』とキレられて面倒なので、いつもおごってあげています。
暴力とかは、今のところ振るわれてないです。たぶん、暴力を振るうと大ごとになると向こうもわかっているから、手を出してこないんだと思います」(都内公立高校2年生・男子)
(広告の後にも続きます)
「一生を棒に振るような、馬鹿なことはしない」
一方で、「うちの学校では、いじめやSNSでのトラブルは一切ない」と答えてくれた生徒もいた。その生徒に「どうしていじめやトラブルがないのか?」聞いたところ、このように話してくれた。
「もし、いじめの被害者がSNSに投稿して、誰がいじめたか個人が特定されたら、一生を棒に振るじゃないですか。だから、今どきそんな馬鹿なことをする人はうちの学校にはいないんだと思います。学校でも、先生から『いじめは犯罪だ』と教えられています」(都内私立高校2年生・女子)
「いじめが先生にバレると大学の推薦がなくなるから、それを恐れている人が多いんだと思います」(都内公立高校2年生・男子)
情報化社会である現代において、いじめをすることは今後の人生を歩むうえでも大きなリスクにもなりうるため、「LINEや動画をさらされたら人生終わる」「自己保身のためにしない」と考える生徒も多かった。しかし、そういった考えでは根本の原因は解決しないのではないだろうか。
時代の変化に伴ったいじめ対策が、より強化されることを心より願う。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班