最近人生で初めてアニメ『キン肉マン』を履修した筆者は、「ブラックホール」というキャラクターに心を奪われてしまいました。2024年7月から放送中の最新シリーズ『キン肉マン 完璧超人始祖編』にて、想像を絶する大活躍を見せていたからです。



よく見ると主人公のキン肉マンを差し置いて、最前列を陣取っている「ブラックホール」 画像はアニメ『キン肉マン 完璧超人始祖編』のメインビジュアル (C)ゆでたまご/集英社・キン肉マン製作委員会

【画像】えっ、アイドルが? こちらはアイドルが演じた令和版「ブラックホール」です

だんだんカッコよく見えていた…

 これまで一度も『キン肉マン』を見たことがなかった筆者(20代女性)ですが、先日初めて80年代に放送された初代TVアニメシリーズを視聴しました。はじめは強烈なコメディ色の強さに「思ってたのと違う……」と戸惑いつつも、第48話から始まる「7人の悪魔超人編」ではキン肉マンたちの友情やアツき戦いに胸を打たれたものです。

 こうなると気になってくるのが、2024年7月から始まった新TVアニメ『キン肉マン 完璧超人始祖編』の存在でしょう。聞くところによれば、今まさにキン肉マンと戦った悪魔超人たちにフォーカスが当てられているというではありませんか。そこで試しに新TVアニメシリーズを視聴したところ、「ある超人」の活躍ぶりが目に入りました。

 そのキャラクターの名は……「ブラックホール」です。

※TVアニメ『キン肉マン 完璧超人始祖編』の内容に触れています。ネタバレにご注意下さい。

 ブラックホールといえば、顔面に大きな穴が開いた悪魔超人です。「7人の悪魔超人編」では2番目の刺客として「キン肉マン」と対峙するものの、あえなく敗れ去りました。

 そのため「7人の悪魔超人編」までしか見ていない筆者にとっては、ブラックホール=「かませ犬」くらいの印象しか残っていなかったのですが、一転して新作アニメでは主人公ばりに大活躍しているのです。

 そもそもブラックホールの活躍に至るまでどのような話だったかというと、ことの始まりは正義、悪魔、完璧の各超人軍が締結した「不可侵条約」でした。これにより争いのない平和な時代が訪れたと思われた矢先、不可侵条約に異を唱える「完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)」なる完璧超人一派が現れ、交戦状態となります。

 しかし正義超人主力の大半が「メディカル・サスペンション」による肉体治療中で、まともに戦えるのは「テリーマン」しかいません。そんなときに現れたのが、「バッファローマン」率いる悪魔超人軍でした。

 かつてのライバルたちによる電撃参戦に胸をおどらせたのも束の間、「ステカセキング」「ミスターカーメン」が続けて敗北し、悪魔超人軍は劣勢を強いられます。その不穏な流れを断ち切ってくれたのが、ブラックホールなのです。

 昔の「7人の悪魔超人編」でのブラックホールといえば、キン肉マンと一戦を交えた際、自慢の「吸引ブラックホール」を攻略された挙げ句、そのあとの「肉弾エルボードロップ」で一発KOされていました。せめて「キン肉バスター」などの大技を受けたのならまだしも、『キン肉マン』公式サイトの必殺技一覧にも載っていないような地味な技で倒されてしまったのです。

 それ以来、すっかり筆者のなかでは「かませ犬」のイメージでしたが、新アニメではまさかの逆転劇を見せてくれたため、そのギャップに思わず胸が熱くなりました。何より今回の勝利は、敗北した仲間の想いを背負ってのことです。顔面に穴が開いていてまったく素顔の見えないキャラクターなのに、かっこいいという感情すら湧き上がってきました。

 今回の活躍ぶりにより「かませ犬」のイメージを完全に払拭したブラックホールの魅力は『呪術廻戦』の「五条悟」や『鬼滅の刃』の「冨岡義勇」といった令和の人気キャラにも引けを取らない……ような気もしてきます。