ライターの福丸さんは、幼少期に入院生活を送っていました。つらいときや寂しいときは、イルカのぬいぐるみ「きゅーちゃん」が支えになってくれました。社会人になってもきゅーちゃんと暮らす福丸さんは、ぬいぐるみを治療する病院があることを知り……? 作者のこやまこいこさんにお話を聞きました。



幼少期、つらい入院生活をともに過ごしてくれたイルカのぬいぐるみは大人になっても一緒(こやまこいこさん提供)

【マンガ本編】大人になっても「ぬいぐるみが好き」でいい? 今、一緒にいる子を「抱きしめたくなる」

ぬいぐるみを大切にする人たちが集まる場所でもある「ぬいぐるみ病院」

 イルカのぬいぐるみ「きゅーちゃん」は主人公のライター「福丸さん」が子供の頃、入院していたときに心の支えになってくれた大切な存在です。社会人になった今もずっと一緒にいますが、「大人になってもぬいぐるみを好きだなんていいのかな」とふと考えます。福丸さんは、ぬいぐるみを治療する病院があることを知り、みんなのぬいぐるみとの関係性が気になって……?

 こやまこいこさん(@koyamacoico)が「大人になってもぬいぐるみを好きだなんていいのかな」としてX(旧:Twitter)に掲載した『わたしのぬいぐるみさん』が話題です。読者からは「今一緒にいるぬいぐるみを大切にしたい、優しくしたい、と思った」「自分の大切なぬいぐるみを抱きしめたくなるお話」「ぬいぐるみとの関係性が素敵」などの声があがっています。

 こやまこいこさんは漫画家として活動しており、今作、たくさん愛されたぬいぐるみたちが集まる「ぬいぐるみ病院」での取材と資料を基に描いたマンガ『わたしのぬいぐるみさん』(KADOKAWA)が発売中です。

 作者のこやまこいこさんにお話を聞きました。

ーー今作『大人になってもぬいぐるみを好きだなんていいのかな』を描いた理由や、作品に込めた思いなどを教えて下さい。

「ぬいぐるみ病院さんについてのマンガを描いてみませんか?」というお話をいただいたのがきっかけです。取材を通して、ぬいぐるみを大切にして人生を共にされている方々がたくさんいらっしゃることを知りました。その方々のぬいぐるみへの優しい気持ちをマンガに描きたいと思いました。



大切なぬいぐるみたちとのエピソードが収録された『わたしのぬいぐるみさん』著:こやまこいこ、ぬいぐるみ病院/KADOKAWA

ーー今作を描くうえで工夫したポイント、お気に入りのシーンやセリフなどがあれば教えて下さい。

 取材させていただいたみなさんのぬいぐるみを持つ手元がとても優しく愛情にあふれていたので、ぬいぐるみを手に持つ姿は特に気持ちを込めて描きました。

 子供のときに大好きなものと出会う瞬間って世界が変わるくらいうれしいことだと思うので、ふーちゃんとの出会いのシーンは特に好きです。

ーー物語の第1話に登場する取材先の「かほさん」と「ふーちゃん」についてお聞きします。それぞれのキャラクターの細かい設定や、制作時にこだわった点などがあれば教えて下さい。

 かほさんは恋人と別れて引っ越しもして、心機一転がんばっていきたいという女性の設定です。そんな人生の転機にもそっと側にいてくれるのは、ぬいぐるみのふーちゃん。誰かの人生に寄り添ってくれるぬいぐるみの存在は本当に大きくて頼もしいなと思いながら描きました。

 ちなみに福丸さんはについては、きゅーちゃんとの絆がとても強く、そのまま成長し大人になった人です。取材やいただいた資料のなかで、子供の頃からぬいぐるみと一緒という方は多くて。自分の気持ちの全てを受け止めてくれるやわらかな存在を描けたらと思いました。きゅーちゃんは陽気でいつも福丸さんを励ましてくれるいるかです。そんなぬいぐるみがいたら心強くてうれしくなりますね。