児童向けのアニメ映画は、一般的にかわいい絵柄や楽しいストーリーで描かれるものが一般的です。しかし、なかには化け物のような恐ろしいキャラクターや子供が苦しむ描写が含まれ、子供向けとは思えないトラウマ展開がくり広げられた作品もあります。
『映画ドラえもん のび太とブリキの迷宮』DVD(ポニーキャニオン)
【画像】え…っ? 絵柄かわいいのに…内容怖すぎるんですけど!こちらが衝撃のトラウマアニメ映画です(5枚)
子供向けだと思って完全に油断した
国民的人気アニメシリーズや児童文学が原作のアニメ映画は毎年多数作られており、区分としては子供向けであってもトラウマになるシーンが含まれていることもあります。あまりのインパクトの強さに、大人になっても決して忘れられない場面もあるのではないでしょうか。
『のび太とブリキの迷宮』
1993年に公開された『のび太とブリキの迷宮』は、国民的人気アニメ『ドラえもん』の劇場版第14作目です。
ある日、「のび太」が家にあった謎のトランクを開けると門が現れ、その先にはブリキのおもちゃたちが住む「ブリキン島」が広がっていました。のび太は「ドラえもん」とブリキン島でスキーを楽しんでいましたが、ドラえもんがブリキの兵隊にさらわれてしまいます。
のび太たちのドラえもんの救出作戦が描かれる同作は子供向けでありながら、ダークなシーンが多く含まれており、トラウマになるほど強烈な印象を残す場面が登場しました。たとえばドラえもんが敵に捕まり拷問を受けるシーンでは、最大ボルトの電圧をかけられてドラえもんが故障し、海の底のスクラップ置き場に捨てられてしまいます。
さらに恐ろしい場面としては、最後におもちゃたちが一斉に故障していくシーンも有名です。「いーとーまきまき、いーとーまきまき、ひーてひーてトントントン」と歌いながら両手をぐるぐると回すおもちゃたちが、徐々に声が低く、動きが遅くなり、次々と倒れていく様子が描かれており、ネット上のレビューでも「よくこんな演出思いつくな」「歌がいまだにトラウマ」という意見が多く出ていました。
『クレヨンしんちゃん伝説を呼ぶ踊れ!アミーゴ!』
国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』は、1993年から劇場版シリーズが公開され、子供たちを中心にヒットを続けています。そのなかで、2006年に公開された『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』は、これまでのシリーズとは一線を画すホラー描写が多く、「大人になった今でも鮮明に思い出せるトラウマ作品」とまでいわれています。
同作では、「本物そっくりなニセモノが、いつの間にか本物と入れ替わってしまう」という都市伝説が話題になった春日部を舞台に、「野原しんのすけ」たちがそのニセモノたちから家族と地元を守るために奮闘する物語が展開されます。
作中には、トラウマ級に怖いそっくり人間たちが多数登場しました。たとえば、「風間くん」のママが料理するシーンでは、突如として口が裂け、先の割れた長い舌で鶏肉を丸呑みする姿が描かれます。この時の恐ろしすぎる表情が、多くの人にトラウマを植え付けたようです。
また、しんのすけの父「ひろし」の会社の後輩である「川口」が頭に定規が刺さっていても気にしないシーンや、「よしなが先生」が画びょうを踏んでも痛がらない場面もあります。普段のTVアニメでも登場する身近な人びとが化け物に変わっていくさまは、「いつもの明るいしんちゃんとは思えないほど恐怖に全振りしている」「マジでホラー演出うますぎ」と評され、子供向けとは思えないトラウマ級のインパクトを残しました。
『河童のクゥと夏休み』
2007年に公開された『河童のクゥと夏休み』は、木暮正夫先生の児童文学が原作の映画です。不思議な力を秘めた河童の「クゥ(CV:冨澤風斗)」と、主人公「上原康一(CV: 横川貴大)」との友情や、周囲を取り巻く人びとの人間模様を描いています。同作は「第11回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門」で大賞を受賞するなど、数々の賞に輝きました。
人間と河童の友情を描いた同作は大人も泣ける感動物語ですが、トラウマになるようなシーンもいくつかあります。冒頭のシーンでは河童の親子が役人たちに、自分たちが住む沼の埋め立てを止めてもらおうと懇願していました。
クゥの父は役人に事情や敵意がないことを伝えますが、内緒話を聞かれたと勘違いされた役人に斬りかかられます。このシーンでは、クゥの父が子供の前で右腕を斬り落とされ、その後、斬り殺されるというショッキングな描写がありました。
また、物語の中盤で上原家はクゥの存在が周りに気付かれないようにと尽力しますが、メディアに注目されるようになると、両親がクゥを見世物のように扱い始めます。ほかにも、河童を見たいという同級生たちからクゥを守るために見せなかった康一が、仲間外れにされるといういじめシーンも描かれました。
人間の醜悪さや身勝手さが浮き彫りになる場面も多く、意外と過激な同作には、「リアルすぎる人間の汚い部分に気分が悪くなった」「ファンタジーだと思って見たら、想像以上にトラウマ要素が多い作品だった」といった声もあがっています。