主人公たちの前に立ちはだかる「悪役」は、物語を紡ぐうえで欠かせない存在です。人気マンガが実写化される際も、悪役キャラの再現度に注目する人は多いのではないでしょうか。そのようなプレッシャーがかかるなか、衝撃の悪役を演じて話題を集めた俳優たちがいました。



画像は玉木宏さん演じる鶴見中尉(右)の姿。 (C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

【画像】え…っ? 「池田エライザもドロンジョやってたん?」「吉岡里帆の女郎蜘蛛ヤバ」 こちらが妖艶な雰囲気漂う美しき悪役たちです(6枚)

あれっ、もしかしてご本人ですか?

 人気マンガに登場する「悪役」のなかには、3次元で再現するのが難しそうなビジュアル、設定を持つキャラクターも存在します。人間離れした姿だったり、あまりにもセクシーな姿だったり、理由はさまざまありますが、そういった不安をものともせず、みごとに悪役を再現してみせたイケメン、美女俳優もいました。

『幽☆遊☆白書』戸愚呂兄弟・弟(演:綾野剛)

 人気マンガ『幽☆遊☆白書』(作:冨樫義博)で印象的な悪役といえば、やはり「戸愚呂兄弟」ではないでしょうか。なかでも「暗黒武術会編」のラスボス「戸愚呂弟」は巨躯の持ち主で、絶望的なまでの強さを誇る存在です。なおかつ自身の筋肉量をコントロールできる能力を持っており、筋肉量が100%に近づくにつれて人ならざる姿へと変貌します。

 そんな戸愚呂弟をNetflixドラマ『幽☆遊☆白書』で見事に演じてみせたのが、俳優の綾野剛さんです。戸愚呂弟の肉体美を再現するべく、綾野さんはわずか3か月で10kgも増量する肉体改造を行いました。そのムキムキでガチムチな姿には、共演者で「左京」役の稲垣吾郎さんもはじめ綾野さんだとわからず、びっくりしたそうです。

 さらにどんどん筋肉量を増強していく姿に関しても、ハリウッドの超大作でしか使われていない技術を駆使して再現されています。その際、綾野さんはなるべく身体を動かさず、顔だけでの演技を強いられた場面もあったそうですが、それを感じさせない終盤の演技は、えも言われぬ緊張感と絶望感を生み出していました。

『ゴールデンカムイ』鶴見中尉(演:玉木宏)

 明治末期の北海道で起こる金塊争奪戦を描いた『ゴールデンカムイ』は、2024年1月に実写映画が公開され、10月からWOWOWでの続編ドラマの放送も予定されています。人気マンガの実写版とあって、配役に注目が集まっていたなか、玉木宏さん演じる「鶴見篤四郎中尉」の再現度の高さは多くのファンを驚かせました。

 鶴見中尉は欠損した頭蓋骨を補うために、ホーロー製の額当てをつけたキャラクターです。しかも部下たちを心酔させるカリスマ性を持ちながら、作中随一の狂気性を秘めた人物像という難しい役どころでしたが、玉木さんは原作ファンをも唸らせる演技力で鶴見中尉を演じ切っています。劇場パンフレットによれば、原作者の野田サトル先生が鶴見中尉を玉木さんに演じてほしいとお願いしたそうです。

 終盤の馬から落ちてすぐに走り出す姿や、上司の「和田大尉(演:堀部圭亮)」の指を食いちぎる場面のほか、鶴見中尉が主人公の杉元佐一(演:山崎賢人)を尋問するシーンは、多くの人が衝撃を受けたことでしょう。命を「ロウソク」に例えて杉元に詰め寄るシーンから、歯をガチガチと鳴らす怒りの表情まで原作通りに再現され、映画を観た人からは「完全にマンガからそのまま出てきた本物」「どこをどう見ても私たちの想像していた鶴見中尉が実在しててビビる」などと絶賛する声が巻き起こりました。

 続編のドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』では、鶴見中尉がはく製職人「江度貝弥作(演:古川雄輝)」を自分のとりこにして、「ファッションショー」を繰り広げるシーンなど、さらなるクセの強い場面に期待が集まっています。また、日露戦争で負傷する前のイケメン時代、意外な過去の場面を玉木さんがどう演じるのか、要注目です。



深田恭子さん演じるドロンジョが表紙を飾った「スカパー!e2TVガイド」2009年3月号(東京ニュース通信社)

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セクシーすぎる悪役に「お仕置きされたい」

『ヤッターマン』ドロンジョ(演:深田恭子)

 衝撃的なビジュアルにおいては、実写映画『ヤッターマン』で「ドロンジョ」役を演じた深田恭子さんも負けてはいません。癒やし系とも呼び声高い深田さんがイメージにない悪役に抜擢されたことも十分衝撃的でしたが、それ以上にドロンジョの衣装に注目が集まりました。

「ドロンボー一味」のリーダーであるドロンジョといえば、常に大胆かつセクシーなコスチュームを身にまとっています。片や実写版ドロンジョを演じた深田さんも、原作に限りなく寄せた衣装に身を包んでおり、すべて本革で作られたというコスチュームは実に5000万円もの製作費がかけられているそうです。

 また原作のドロンジョは、いわゆるラッキースケベの標的にされてしまうのがお決まりのパターンでした。そうしたファンの期待に応えるべく、劇中で深田さんは体当たりの演技をみせており、入浴シーンも披露しています。

 コミカルなのにセクシーという唯一無二の存在感を放った深田さんの熱演は、実写版『ヤッターマン』一番の見どころといっても過言ではありません。脇にいる手下の「ボヤッキー」役の生瀬勝久さん、「トンズラー」役のケンドーコバヤシさんの再現度の高さも相まって、「まさかドロンボー一味を実写化できるとは」「ドロンジョ様たちだけでも観る価値のある映画」と絶賛されました。

※山崎賢人の「崎」は「立崎(たつさき)」