プロ野球12球団すべてのファンクラブに20年間入り続け、この7月にその軌跡をまとめたファンクラブ本を発売した、「12球団ファンクラブ評論家®」の長谷川晶一氏。前編ではその不必要に(⁉)忙しい驚きの生活実態をお届けしたが、後編では長谷川氏がこの20年間で集めた激レアの“お宝特典グッズ”を紹介する。
特典グッズは世相を反映?
――毎年もらえる特典グッズは、プロ野球ファンクラブの醍醐味のひとつですが、トレンドのようなものはあるのでしょうか。
長谷川晶一(以下、同) はい。コロナ禍ではマスクや卓上加湿器など、感染予防系の特典が一気に増えましたが、それも緩和されるとテントやアウトドアチェア、サングラス、ランタンなど、「脱巣ごもり」のアウトドアグッズが次々登場し、ようやく外に出られるという喜びがグッズを通して感じられたのが印象的でした。
最近ではワイヤレスチャージャー、スマートウォッチ、BluetoothスピーカーとUSB充電によるハイテク化が進んでいますね。
――この20年間でグッズのクオリティも上がっているのでしょうか。
飛躍的に上がりましたね。20年前は各球団が用意したグッズを、有無を言わさずありがたくちょうだいするしかなかったんですが、近年では球団がアンケートをとってファンのニーズを把握するといった、インタラクティブ(双方向)な関係へと徐々に変化しています。
だからこそ、特典グッズは多くの球団が選択制を採用し、グッズの多様化へとつながったかと思います。
そんな多様性マックスのなかで、長谷川氏も太鼓判の特典グッズを紹介していく。
2006年 中日 宮崎駿デザインぬいぐるみ
2006年のGOY(Goods Of the Year。1年間の12球団ファンクラブ特典グッズの中で、もっとも優れた逸品を長谷川氏が独断と偏見で選んで表彰する。読み方は「ゴイ」)に選ばれたグッズ。
「スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが中日ファンという縁で実現した夢のマスコット。デザインはもちろん宮崎駿監督。07年に公募で『ガブリ』という名前まで決まり、華々しくデビューするもいつのまにか自然消滅。いくら人気者ドアラがいるとはいえ、あまりにもったいない。チームが低迷する今こそ復活するべきでは?」(長谷川氏。以下、同)
2009年 広島 “カオシマ”ユニフォーム
2009年、GOYに選出。ファンクラブマニアの間では半ば伝説化している一着。
「ホームとビジターを掛け合わせた革新的なデザインで、胸の『Caoshima(カオシマ)』も違和感がない。古い話ですけど、『マジンガーZ』のあしゅら男爵を彷彿とさせます。
僕が方々で絶賛しているからかはわかりませんが、中古市場で値段が高騰しています(笑)。他球団も追随してほしいところだけど、今のところフォロワーは西武が2022年につくった『Liibu』ユニのみ。他球団もぜひ!」
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「食べる特典」「ペット専用カテゴリー」も
2022年 オリックス 宮崎牛モモ スライス500グラム
2022年のGOY。まるでふるさと納税のような特典が登場!「宮崎牛、シンプルにめちゃくちゃうまかったです。ただ、本来はオリックスの本拠地である神戸牛でしょと(笑)。ともかく時代はついに“食べる特典”へ」
2020年 オリックス 野球盤 京セラドーム大阪Ver
野球盤メーカーの雄、エポック社とのコラボグッズ。
「開発担当者に取材したところ、球場フェンスを通常のグリーン以外にするとコストが跳ね上がるも、『緑にしたらそれは京セラドームではない』と、予算度外視でネイビーに変更するほどのこだわりよう。
取材時に製作者と対戦しましたが、今の野球盤って投球も打球も宙に浮くように角度が計算されて作られているんですね。子どものころ以上に熱中しました」
オリックスのファンクラブではほかにも2016年、ついに人間を超越し、ペット専用のカテゴリーも誕生。「どんなペットでもOKとのことだったので、僕はこのために金魚を買って登録したんですが、特典は犬猫用のオリジナルクッションでした(笑)」
2020年 ロッテ ZOZOマリンスタジアムエアソファー
ZOZOマリンスタジアムを模したエアソファーは大人もくつろいで座れるビッグサイズ「大きい分、膨らませるのと畳むのが大変だけど、空気入れ付きという心遣いにも感謝。座面と背もたれが別素材になっていて、座り心地がめちゃくちゃいいです」
2022年 DeNA スマートウォッチ
DeNAファンクラブの2022年メイン特典だったスマートウォッチをめぐっては、まさかの騒動が…。
「配布されたスマートウォッチは技術基準適合証明の認証がされておらず、日本国内で使用すると違法になってしまうということで回収騒ぎになりました。しかし、僕は12球団ファンクラブ評論家として、この特典の価値を鑑み、回収を拒否しています。もちろん、使用してませんよ!」