数あるマンガのなかには、人気だったのにも関わらずさまざまな事情で、物語の展開が早まり唐突に終了してしまう作品があります。主人公たちが目標に向かって突き進む、青春スポーツマンガでも、まさかの最終回を迎えた作品もありました。



『Dreams』1巻(講談社)

【画像】え…っ? 表紙はめっちゃ爽やかだけど こちらが衝撃展開だらけの『Dreams』最終巻です

さまざまな事情で描かれた唐突な最終回とは?

 スポーツマンガの結末は、主人公たちが白熱した試合の末に栄光に輝くというのが多くの読者が期待している展開でしょう。しかし、なかにはさまざまな理由で物語が中途半端に終了してしまった作品がありました。そういった作品では、どのような最後が描かれたのでしょうか。

『競女!!!!!!!!』

 空詠大智先生原作の『競女!!!!!!!!』は、2013年から2017年まで「週刊少年サンデー」(小学館)にて連載された作品です。お尻と胸だけを使ったオリジナルスポーツ競技「競女」が題材で、スポ根的な展開、お色気はもちろんのこと、迫力ある競技シーンも描かれています。

 本作は、驚きの展開で幕を閉じました。養成学校を経て、ついにスター選手が戦うA級プロとなった主人公「神無のぞみ」は、「尻卒祭」というレースの決勝でライバルの「宮田さやか」と戦うことになります。ふたりの壮絶なバトルがはじまるかと思いきや、両者の攻撃が強すぎて尻がぶつかった瞬間にお互いの水着が破れ、お尻が丸出しの状態になってしまいました。

 そして、「水着の80%以上が破損した場合は敗退」というルールによって、審判から「神無、宮田、オーバーエロ!! 失格ゥゥゥ!!!」と告げられてしまいます。どアップの審判が叫ぶコマの下に「終尻(しゅうけつ)」という文字が示され、そのまま物語は終了となりました。

 まさかの展開に驚きを隠せなかった読者も多く、「これからが面白いところじゃないの!」「主人公が失格で終わるとか予想できない」「最後までふざけてるのは好感持てる」と、さまざまな声があがっていました。

 原作者の空詠先生は、本作の最終回についてブログを更新しており、そのなかで「アニメが始まる前からアニメの放送が終わったら連載も終わるようにと言われていた」と語っています。さまざまな事情が関係しての、作品終了だったようです。

『Dreams(ドリームス)』

『Dreams』(原作:七三太朗/作画:川三番地)は、高校野球を舞台に破天荒な主人公の活躍を描いたマンガ作品です。本作は、「週刊少年マガジン」(講談社)にて連載が始まり、その後「マガジンSPECIAL」に移籍しますが、連載誌の休刊に伴い2017年に最終回を迎えています。

 20年以上連載された本作は、まさかの展開で物語が完結しました。「夢の島高校」の投手である主人公「久里武志」は、甲子園準決勝の麗峰大九龍高校戦にて、相手の姑息な試合の進め方に激怒し、7連続死球という報復行為をします。その姿を見かねた高野連(高等学校野球連盟)は、試合中にも関わらず「久里は高野連に所属していない(試合で出場できない)」と異例の発表をしました。そして、久里を欠いた夢の島高校は敗退してしまいます。

 さらにその後、久里のライバル「生田傭平」が突如事故に遭い死亡するなど、物語は急展開をみせました。その後久里は高野連会長から「高野連に所属していないから16歳からメジャーに挑戦できる」ことを告げられます。試合中の高野連除名は、彼の将来を守るためだったのです。そして、最終回では九里がメジャーリーグのマウンドに上がり、昨年のホームラン王「ダニエル・ベボー」に全力の1球を投げるところで物語が完結しました。

 読者からは急展開なストーリー構成に「もう少しちゃんとまとめて欲しかった」「途中までの試合が面白かっただけに、急ハンドルの展開はビビった」「死後に全球団から1位指名されるのは泣いたけど、生田の死はちょっと唐突過ぎる」などといった声があがり、かなりの衝撃を受けた人が多かったようです。



エース同士の投げ合いが期待された『セーラーエース』第1巻(著:しげの秀一/講談社)

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エース同士の対決は見れずに完結?

『セーラーエース』

『頭文字D』などの人気作を生み出してきたしげの秀一先生原作の『セーラーエース』は、2015年から2017年にかけて「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載された作品です。

 本作は肘を痛めたことで野球から離れ、ギャルとなった主人公「桜木繭」が、関東女学院野球部のエースとして復帰し、チームを勝利に導くストーリーを描いています。繭を中心に各校と熱い戦いを繰り広げていましたが、唐突な最終回を迎えました。

 繭率いる関東女学院は、秋季大会の準々決勝で強豪、青山インターコンチネンタルハイスクールと対戦します。エースの繭が先発の関東女学院に対し、優勝を見据える相手は、エース「マリコ・メッセンジャー」を温存し先発させませんでした。そして、関東女学院リードの試合展開のなか、ついにマリコが登板準備をはじめ、ファンのおじさんが「大会屈指の好投手どうしのガチンコが見れるぞい」と、小さくガッツポーズをしているコマを最後に物語が完結してしまいます。

 熱い戦いがこれから描かれると思いきやのラストに、ファンからは「マリコと繭の投げ合いが観たかった」「続きが描ける形なのでいつか再開してほしい」といった声があがっています。ただ、当時しげの先生は次回作『MFゴースト』の連載を控えており、「潔いやめ方」と納得する意見も見受けられました。