1989年から放送されたアニメ『らんま1/2』は主題歌やキャラクターソングが多彩で、多くの視聴者を楽しませました。10月からの「完全新作的アニメ」を前に、それらのなかから特にユニークな曲を振り返ってみましょう。
らんまとあかねが描かれた『らんま1/2』第1巻 著:高橋留美子(小学館)
【画像】よく理性保ったな… こちらはメニューを読むだけでかわいいシャンプーです(4枚)
『らんま1/2』楽曲で最も印象深かったのは?
高橋留美子先生による格闘ラブコメマンガ『らんま1/2』の「完全新作的アニメ」が10月から始まります。MAPPAによるアニメ化、しかもキャストは基本的に続投という同作は大きな注目を集めていますが、1989年にTV放送されたかつてのアニメも映画やOVAなどが作られるほど人気を博していました。
その魅力のひとつとして挙げられるのが多彩な楽曲です。主題歌だけでなく、山口勝平さん、日高のり子さん、林原めぐみさんをはじめとする声優陣がキャラクターとして歌唱する「キャラクターソング」も多数リリースされ、ドラマを交えたアルバム「らんま1/2 熱闘歌合戦」は第5回日本ゴールドディスク大賞アニメ部門賞を受賞しました。
90年代のアニメ界ではキャラクターソングが大いに盛り上がりますが、『らんま1/2』がその先鞭を付けたと言ってもいいでしょう。今回は『らんま1/2』関連楽曲について、アニメソングや声優ソングに精通しているDJのIさんが選んだ「3つの聴くべき楽曲」を紹介します。
「乱馬ダ☆RANMA」
「乱馬ダ☆RANMA」は第2期にあたる『熱闘編』のふたつ目のエンディングテーマで、メインキャスト陣で構成された「乱馬的歌劇団御一行様」が賑やかに掛け合います。
Iさん:
まずはこれでしょう。聴いていただければ分かるとおり、『らんま1/2』のドタバタ感が表現されたような掛け合いの楽しさが前面に出ている曲ですが、当時こんな風に多くのキャストが掛け合うようなアニソンはあまりなかったのでは。いまでは大御所ぞろいとなったキャスト陣に、新作でぜひカバーしてほしい1曲です」
「猫飯店メニューソング」
「猫飯店メニューソング」は、主人公の早乙女乱馬に思いを寄せる「シャンプー(CV:佐久間レイ)」によるキャラクターソングです。
Iさん:
中華料理屋で働くことになるシャンプーにちなんで、ほとんど中華料理のメニュー名だけで歌詞が構成されているというものすごい曲です。でもそれが『エセ中華感』のある曲と、何より佐久間さんのかわいらしい歌声によって素晴らしい仕上がりになっているんですよ。新作に合わせて世間に見つかり、TikTokでカバーなどが流行ってもおかしくないでしょう。
この曲に限らずバラエティ豊かなキャラソンは『らんま1/2』の大きな魅力で、キャラクター愛あふれる歌詞や、キャラクター別のシングル1/2枚の展開などは当時ポニーキャニオンに所属していたプロデューサーである須賀正人さんの素晴らしいお仕事です。「天道なびき」の『この世でいちばん、お正月が好き』なんかも、ラバーズレゲエ的なゆったり感が抜群でいいですよ。
「じゃじゃ馬にさせないで」
「じゃじゃ馬にさせないで」は第1期のオープニングテーマです。アイドルの西尾悦子さんが歌っており、彼女のデビューシングルの表題曲でもあります。
Iさん:
キャラクター歌唱曲以外から選ぶとしたらこの曲でしょうか。「CoCo」によるエンディングテーマ『EQUALロマンス』は声優陣にもカバーされましたし捨てがたい名曲ですが、実際アニメ内で使われた期間が短く、のちに別のアニメで使われた際の印象も強いので。
『じゃじゃ馬にさせないで』は最初のオープニングテーマで視聴者の印象が強いし、きちんと中華っぽいモチーフが曲に取り入れられています。そういったエッセンスは新作でも欲しいですが、現段階でオープニングテーマアーティストとして発表されているanoちゃんはしっかりアニメに合った曲を作った実績があるので、心配ないでしょうね。
「完全新作的アニメ」ではどんな展開を見せてくれる?
ここまで紹介したのは『らんま1/2』楽曲でもほんの一部であり、ほかにも多数の楽曲があります。そのほとんどは「決定盤『らんま1/2』アニメ主題歌&キャラソン大全集」に収録され、サブスクでも聴けるので興味を持った人はまずはこのアルバムを聴いてみてください。
またIさんは「あ」から「ん」までのかるた歌を収録した「らんま1/2 格闘歌かるた」というCDに触れつつ、「以前のアニメではCDに関するユニークな企画が多数ありました。CDの存在感が薄まってきた昨今、新作でもまたそういったアプローチがあるとうれしいし、やる気満々っぽいキャストたち……特にメインキャストの女性声優5人による『CoCo』のパロディユニットである『・DoCo』によるイベントなんかもやってほしいです」と期待を寄せていました。