「このチャンスを掴めなかったら終わり」マリノス水沼宏太が崖っぷちの想いで臨んだ札幌戦で渾身の一発「まだまだできることを証明したい」

[ルヴァン杯準々決勝第1戦]横浜 6-1 札幌/9月4日/ニッパツ三ツ沢球技場

 気持ちのこもったガッツポーズだった。

 9月4日にニッパツ三ツ沢球技場で行なわれたルヴァンカップ準々決勝第1戦で、横浜F・マリノスは北海道コンサドーレ札幌に6-1で大勝。86分にダメを押すチームの6点目を叩き込んだ水沼宏太は、ボールがネットを揺らした瞬間、感情を爆発させた。

 それもそのはずである。

 水沼はリーグ優勝を果たした2022年シーズンは31試合、連覇は逃したが2位でフィニッシュした昨季も33試合に出場し、主力のひとりとしてチームを牽引してきた。

 しかし今季は、天皇杯ではここまで全3試合に出場しているものの、28試合を消化しているリーグ戦(29節のジュビロ磐田戦は台風10号の影響で中止)では11試合にとどまっていたからだ。
【動画】水沼が渾身の一発!
 札幌戦はベンチスタートだったなか、2-0でリードしていた56分に宮市亮との交代で投入された水沼は、どんな想いでピッチに立ったのか。

「僕自身はこのチャンスを掴めなかったら終わりだっていうくらいの気持ちで臨みました。4本のシュートを打ったので、もっと決められたし、まだまだ足りないなっていうのが率直な感想ですけど、ゴールがひとつ取れたのは良かった」

 試合の序盤は札幌にペースを握られ、何度かピンチを迎えた横浜だったが、GK飯倉大樹の好セーブで凌いだ。30分と36分に植中朝日がゴールを決め、37分には札幌の荒野拓馬が1発レッドで退場。数的優位にもなったが、後半のスタートも相手にチャンスを作られるシーンがあった。

 水沼も「自分が出るまでに2点を取っていましたけど、立ち上がりから情けない試合をしていたし、大樹君に助けられていた試合だったから、それで“マリノスはこんなものか”って思われても悔しい。僕らは点を取ってなんぼのチームだっていうことを、もう一回証明しなければいけないし、自分の価値も証明しなければいけない。何としても流れを変えたかった」と振り返る。

 ピッチと観客席が近い三ツ沢では、サポーターの声援に消されてプレーしている選手の声はなかなか聞こえないが、それでも34歳のベテランMFは記者席まで届く大きな声で味方に指示を出し続け、ゴールもマークするなど存在感を放った。

「とにかく結果が欲しかったので、自分自身はそこにフォーカスしていましたけど、自分の熱量がチームに伝わって点が取れたのもあったと思う。でも、まだまだできるって信じているし、それを証明したいので、満足せずにやっていきたい」

 札幌戦のゴールが定位置を掴むきっかけになるか。背番号18の今後に起用法に注目だ。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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